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たくさんある比例代表選挙の議席計算方法(3ページ目)

比例代表選挙の議席計算方法は、国や時代によって異なっています。さまざまな比例代表選挙の計算方法を、日本の方式も含めて、みていきましょう。

執筆者:辻 雅之

1ページ目 【比例代表制の歴史とヘアー方式の考案】
2ページ目 【「アラバマのパラドックス」とドループ方式】
3ページ目 【日本で実施のドント方式と修正サンラグ方式】
 

ドント式の算出方法

ドント式では、政党の獲得票数を整数で割っていき、その数字(商)の大きい順に配分議席を決めていきます。

先ほどから使っている2003年・衆院選北海道ブロックの場合、以下のようになり、配分議席数が決定します。
 
ドント方式による計算
ドント方式による計算。日本の比例代表選挙はこれによって議席獲得数を決定している。



このようなドント式が、日本の衆参の比例代表選挙だけでなく、オランダ・フィンランド・スペイン・ポルトガル・アルゼンチンなど広く採用されているのです。
 

少数政党に有利に修正した「修正サンラグ式」

さて、このドント式は、実際の得票率と議席率がしっかり合ってないのではないか、ともいわれます。まあ、比例代表選挙の宿命ではあるのですが。

先ほどのドント式の場合、

民主党 得票率40.8% 議席率50.0%
自民党 得票率34.6% 議席率37.5%
公明党 得票率14.2% 議席率12.5%
共産党 得票率6.7% 議席率0.0%
社民党 得票率3.7% 議席率0.0%

と、得票率が高くなると議席率はそれ以上に上昇し、得票率が低いとその反対になってしまう。「5、6%得票している政党にも議席を与えるべきだ!」フランス人のサント・ラゲはそう考え、独特の「サンラグ方式」が考案されました。

これは、ドント式と違って奇数で割っていくというものです。さらにそれが変型されて「1.4」から割っていくという「修正サンラグ方式」が考案されました。

なぜ、奇数で割っていかなければならないのか、なぜ「1.4」から割っていくのか、具体的な根拠はよくわかっていません。しかし、このやり方のほうが少数政党には有利になるということで、そのような政治文化を重視するスウェーデン・デンマークなど北欧諸国で普及しています。

2003年衆院選の北海道ブロックだとあまり違いがわからないので、ここでは2003年衆院選の全国得票数を10で割って小数点以下を切り捨てた数字をもとに、定数15ということで、ドント式と修正サンラグ式の違いを見てみることにします。
 
修正サンラグ方式
上がドント方式での計算、下が修正サンラグ方式での計算。修正サンラグ方式だとこの場合社民党も議席を持つことができるようになる。



修正サンラグ方式にすると、ドント方式と異なり、自民党が1議席へらし、反対に社民党が1議席増えることになります。

民主党 得票率37.4% ドント式議席率40.0% 修正サンラグ式議席率 40.0%
自民党 得票率35.0% ドント式議席率40.0% 修正サンラグ式議席率 33.4%
公明党 得票率14.8% ドント式議席率 13.3% 修正サンラグ式議席率 13.3%
共産党 得票率7.6% ドント式議席率 6.6% 修正サンラグ式議席率 6.6%
社民党 得票率5.1% ドント式議席率 0.0% 修正サンラグ式議席率 6.6%

果たしてどちらかが「公平」なのか、それはみなさんによって考え方は様々でしょう。いずれにせよ選挙制度に「100%正解」というものはない、ということはおわかりいただけると思います。

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◎関連インデックス 選挙のしくみ

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▼こちらもご参照下さい。
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