(記事掲載/2007.01.14)

毎週日曜日掲載の「日曜日の政治用語」。さて、最近「地方分権」のキーワードとして出てくることも多い、「道州制」について今回は解説していきます。

道州制=都道府県の再編

道州制の概念
「平成の大合併」の次は、都道府県を道と州に再編してしまおうというのが「道州制」の議論。
「平成の大合併」という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。市町村の合併を進め、市町村の数を減らそうとした運動でした。

この政府主導の運動によって、1990年代後半には3000あまりあった市町村が、現在では1800くらいにまで減少し、その分だけ市町村の規模が大きくなっています。

これは、市町村規模を拡大することにより、財政基盤を強固にする一方、合併によって行政のムダをなくし、スマートな自治体をつくろうというものでした。

この「平成の大合併」が一段落したところで、今度は都道府県をまとめ、「道」あるいは「州」という単位にし、同じように財政基盤の強化と行政のスリム化を図ろうというのが、「道州制」という考え方なのです。

道州制で地方分権が進む?

道州制にはもう1つの意味があります。財政基盤が強固になった道や州に政府の権限をどんどん委譲して、地方分権を進めようという狙いがあるのです。

それは、中央政府のスリム化にもつながります。中央官庁の権益をできるだけなくし、官僚主導の行政から政治主導の行政にするために、道州制という制度は必要だということです。

すでに、小泉政権時代から北海道を道州制の「道」とみなして、試験的に政府権限の委譲を進めてきました。政府も道州制導入に前向きなわけで、道州制を担当する大尽も決められています(現在は年末に急きょ就任した渡辺喜美行革相が担当)。

昔からあった道州制の議論

こういった都道府県の再編は、実はけっこうむかしからいわれていたことです。すでに戦前にも、こういった議論はあったのです。

1957年には、政府の諮問機関であった第4次地方制度調査会が7の「地方」、あるいは15の「新県」に再編するという案を示していました。しかし、これが実行されることはありませんでした。

しかし、最近では地方レベルでも道州制導入の議論がさかんになってきています。北海道はすでに凖県ともいえる「支庁」を統合した「道」として道州制の受け皿ができていて、北海道じたいも道州制に意欲的です。

東北でも青森・秋田・岩手が「東北州」設置に向けて運動していますし、四国では「四国州」、中国地方では「中四国州」の設置がそれぞれ提唱されています。

道州制への問題

州の自立
形だけ「道州制」ができても、肝心の「州の自立」ができなければ「地方分権」のための道州制としての意味はない。
さて、しかし道州制について問題がないわけではありません。乗り越えるべき問題点をまとめてみましょう。

・都道府県単位で育まれてきた「郷土愛精神」「アイデンティティ」にどう対処するか。

=現在の47都道府県の歴史は長いです。高校野球や国体などのスポーツイベントも都道府県単位で行われ、経済活動も都道府県が単位となっていることが多く、「県民性」という言葉まで生まれている現状。

このあたりをどう乗り越えていくのか。今の「郡」のように都道府県を形だけ残していくというのも1つの手かもしれません。

・道州への再編で本当に財政基盤が強固になるのか。

=ここは、慎重に考えなければなりません。どういう税金を国から道州に委譲するかにもよりますが、人口や企業(数だけではなく売上や規模など)が道州で均等になるようにしなければ、「リッチ州」「貧乏州」が生まれてしまい、「貧乏州」は財政基盤が弱いまま、国の事務を委任されて実行しなければならなくなります。

それでは、地方が自立するという意味での「地方分権」にはならないわけです。

ただ、それとは別に現在、衆議院の比例代表ブロックが全国に11あり、これと道州が一致しないのも政治的におかしな状況を生むことになってしまいかねません。道州の区割りは、慎重に行われなければならないでしょう。

・政令指定都市や東京都の扱いはどうなるのか。

=政令指定都市は他の市とは違い、都道府県から多くの事務を委譲されている大きな都市です。道州制になったとき、こういった政令指定都市にどういった事務を任せるのか、道州と同レベルの「特別市」にしてしまうのか、という議論が出てくるでしょう。

また、東京都は首都であり、1000万人以上の人口と巨大企業群を抱える特殊な地域です。東京都を他の道州に入れていいものかどうか、これも州の格差をつけることになりかねないわけで、慎重に考えなくてはなりません。

──このように、活発なものの、まだまだ議論の余地が大きい道州制議論。しかし政府も自民党も民主党も地方も導入に前向きな現状、われわれも無関心ではいられません。

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