企業にとっての「子連れ出勤」
「どうせ仕事をしてもらうなら、子どもがいて外で働きづらい人に頼みたい」(光畑氏) |
授乳服という母親を応援するツールを製造、販売するモーハウス。雇用を通じて母親の役に立ちたかったことから、子連れ出勤は始まったそうです。モーハウスに、たとえ短時間労働者でも有能な人材が集まってくるのは偶然ではなさそうです。
そして、子連れ出勤を導入するにつれ、さまざまなハプニングに遭遇し、それに対応する形で柔軟に制度のルールを積み上げて来られたのは、フットワークの軽い規模の企業だからこそ。
企業内託児所を設置するには、法に定められた施設や保育士などクリアすべき問題があり、中小企業には負担です。光畑氏は「何が何でも子連れ出勤」ではなく、企業によって難しいケースがあると認識しています。子連れ出勤という就労形態は、あくまでも選択肢の1つ、とのこと。
光畑氏は、「子どもの具合が悪い日だけ子連れOK、などとできることから手掛けては」とアドバイスします。子連れ出勤は、個々のケースに応じられる中小企業だからこそ、導入しやすいのではないでしょうか。
社会にとっての「子連れ出勤」
モーハウスの取り組みから、企業が持つ社会的責任とは何か、ワークシェアリングとは何か、子育て支援とは何か、と、経済のいくつかの問題について、改めて考えさせられました。子連れ出勤の是非は脇に置いておき、「小さく働く」ニーズも確かにあることに、企業はもっと目を向けてみてもよさそうです。さまざまな就労形態があり、企業も働き手もハッピーになれる方法を実現するために、企業ごとにできることがあるだろう、とモーハウス流の就労形態から学びました。
公共の場所ではもはや当たり前の「分煙」。導入時は議論も多かったことが思い出されます。分煙が一般化したように、いずれ、子連れ出勤という働き方も一般化するのではないか、と光畑氏はいいます。
詳細は、光畑氏の近著「働くママが日本を救う!『子連れ出勤』という就業スタイル」(マイコミ新書、819円)に記されています。子どもを持つ母親には元気を与え、就労形態に悩む経営者には「目からウロコ」となる1冊です。男性や独身の方に読んで頂ければ、パートナーや職場での関係にも、新たな発見があるかと思います。ぜひご一読を!
【関連サイト】
・日本型ワークシェアリング 雇用対策で導入
・80年代の「子連れ出勤」論争に学ぶ・前編 (All About「幼稚園・保育園」ガイドサイト)
・モーハウス(モネット有限会社)
・「働くママが日本を救う!『子連れ出勤』という就業スタイル」(マイコミ新書、819円)
【関連リンク】
・『雇用・労働環境、少子高齢化問題』