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日本型ワークシェアリング 雇用対策で導入(2ページ目)

急激な雇用悪化への対策、緊急雇用対策がまとまりました。長いこと日本での導入が議論されていたワークシェアリング。各企業が導入を促進する素地が固まってきたようです。

執筆者:石原 敬子

日本企業、すでにワークシェア導入事例も

工場
減産で工場の操業時間を削減。残業代が当てにならず、休業手当では生活がやっていけないという声も…
このように、日本では定着しないと言われ続け、やっとのことで導入が進みそうな素地が固まったワークシェアリング。実は、正社員に対してすでにワークシェアリングを導入、または導入を決定している日本企業もあるのです。

例えば、昨年来、減産と業績悪化、雇用問題と話題が絶えない、トヨタ自動車。2009年4月から、英国トヨタがワークシェアに踏み切ると発表されています。具体的な手段は労働時間の短縮と賃金の1割引き下げで、フルタイムで働く労働者に適用します。

トヨタ自動車では2月に、米国のゼネラル・モーターズとの合弁工場、ケンタッキー州やテキサス州など6工場での労働時間短縮と、賃金の1割カットを行っています。

国内の事例では、富士通の半導体子会社が国内工場の製造部門の正社員に対し、労働時間を3分の2にし賃金を引き下げました。マツダでは、大きく報道された派遣社員や期間従業員の削減だけでなく、正社員の労働時間と給与を減らしてこの難局を乗り切ろうとしています。

緊急雇用対策のポイント

政府は他に、失業給付の支給が終了した長期失業者や雇用保険に入れない失業者に対し、職業訓練に取り組むことを前提として、月額10万円程度の生活費を支給するなどの対策も打ち出しています。

今回の緊急雇用対策では、「ふるさと雇用再生特別交付金」に力を入れるとのことです。「ふるさと雇用再生特別交付金」とは、新規事業を実施させて雇用機会を創る目的の交付金を、国が都道府県に配るものです。2008年度二次補正予算で新設されました。その際、「ばらまきではないか」との批判も出ていましたが、全国各地の自治体で臨時職員採用などのニュースが相次いだことは、よく知られているところです。

その成果を実感してか、このたびの緊急雇用対策では「ふるさと雇用再生特別交付金」の資金の出し手を広げることになりそうです。国だけではなく、労使が資金を出しやすくするよう拡充されるようです。より地域に合った雇用機会が増えることが期待されています。

年末に住まいを失った失業者の報道などを通じ、多くの人が「緊急雇用対策? 今頃?」と思っているかもしれません。しかし、どんなに緊急性があろうとも、結局は国会で予算を通さなければ実施されません。「遅ればせながら」の感は否めませんが、どうか雇用が改善するよう、企業には制度を有効に活用してもらいたいものですね。

【関連サイト】

『経済キーワード【ワークシェアリング】』

『ワークシェアリングは定着するか? <続>ワークシェアリング』

『金融、雇用で注目のセーフティネットとは』


【関連リンク】

「雇用・労働環境、少子高齢化問題」
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