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「霞が関の埋蔵金」は裏会計か?(2ページ目)

2009年度予算案の審議が始まり、一般会計予算のみならず、「霞が関の埋蔵金」にも注目が集まっています。、「霞が関の埋蔵金」とは、そもそも何なのでしょうか。

執筆者:石原 敬子

「霞が関の埋蔵金」は裏会計か?

家族
一般会計に比べてないがしろにされている上、国の予算は単純な帳簿。それだけに、ダークな印象の特別会計
メディアなどでは、特別会計は不透明で、裏の帳簿だという論調で伝えられることもあります。しかし、企業会計から見れば単純な帳簿様式ではあるものの、特別会計は正式な国の予算ですし、基本的には一般会計と同じチェックや手続きが行われています。ただし、必要に応じて、法律で定められた異なる処理をすることはあります。

それでも、決して裏の予算と呼ぶべきものではありません。

では、なぜ「埋蔵金」だったのでしょうか。それは、前述のとおり特別会計そのものは以前から公表されていたのですが、この中身についてのバランスシート(貸借対照表)が公表されていなかったからでしょう。

バランスシート(貸借対照表)を公表したことで、特別会計の積立金や余剰金の額が掘り当てられたというわけです。

塩ジイの「すき焼き発言」で知れ渡った、埋蔵金の存在

特別会計が注目されるようになったきっかけの1つに、塩ジイ(塩川正十郎元財務相)の「すき焼き発言」がありました。

2003年のことです。小泉内閣の塩川財務大臣は、「母屋(一般会計)では節約をしてお粥をすすっているというのに、離れ(特別会計)では子供が贅沢にすき焼きを食べている」というような内容の答弁をしました。

この答弁で、特別会計に余剰金という埋蔵金があることが発覚、その後、道路公団の改革の中で公団の資産を査定することになり、埋蔵金の存在が広く知られるようになってきたのです。

それまでも、政治家や政治の専門家、一部の国民の間では「霞が関の埋蔵金」の存在は知られていたでしょう。しかし、一般会計で手いっぱいの財務省と国会、政府。それをそのまま伝えるだけのメディア、という情報公開の状況では、一般の国民にとっては、埋蔵金の正体どころかその存在すらも知られていなかったものと思われます。

掘り当てた埋蔵金の使い道

「霞が関の埋蔵金」が公表され国民の目に触れられるようになった今、その存在自体や積み立ててきた経緯の疑義を議論する時期ではないでしょう。むしろ、厳しい納税や社会保険料の負担をカバーできるような「霞が関の埋蔵金」の使われ方を、政府に求めていくべきでしょう。

2009年度予算案では、雇用支援や子育て支援、中小企業支援などで予算の増額が予定されています。

国民の一人一人が、一般会計のみならず特別会計についても、「自分たちの納めた税金、または国債として貸し付けた資金、納めた社会保険料など」として意識することでしょう。予算案審議など国会に関心を持ち、有意義な使われ方がきちんと議論されているかどうかのチェックも欠かせません。

【関連サイト】

『2009年度財政が悪化 厳しい日本の台所』

『税金や国債は国民の信頼できる使われ方を!』

「特別会計のはなし」(財務省)

【関連リンク】

「国家財政・税金・公共投資」

「規制緩和・構造改革・郵政民営化など 」
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