文章:石原 敬子(All About「よくわかる経済」旧ガイド)
日本が最大1,000億ドル(約10兆円)の資金拠出を表明した「国際通貨基金(IMF)」。金融危機に陥ったアイスランドなどへの支援を決めるなど、話題に上ることが増えています。いったい、どのような機関なのでしょうか。

<INDEX>
通貨が混乱した国を支援(1P目)
世界恐慌を繰り返さないために設立したIMF(1P目)
IMFの役割は、世界金融の安定(1P目)
過去のIMF支援の例(2P目)
10兆円もの支援をする余裕が日本のどこに?(2P目)

通貨が混乱した国を支援

国旗
日本がIMFの10兆円の資金強化? 大丈夫?
11月15日に閉幕した、日米欧と新興国による主要20カ国・地域(G20)の第1回緊急首脳会議(金融サミット)では、「新興国支援の後押しとしてIMFの機能を充実させることが重要」と改めて認識されました。日本は、中期的なIMF強化策として、加盟国の出資金を現行の3,200億ドルから倍増させる提案を手土産に、G20の席についたほどです。

既に日本は、IMFに対し、新興国支援の資金強化として外貨準備から最大1,000億ドル(約10兆円)の資金拠出を行うと表明しています。

アイスランド、ウクライナ、ハンガリーといった通貨が混乱している国々に対し、IMFが資金面で支援を行うと次々に発表されています。新興国に厳しく広がる金融危機に歯止めをかけようとするIMF。その資金強化のために力を貸そうと提案する日本など。IMFとは、世界でどのような役割を担う、どんな機関なのでしょうか。

世界恐慌を繰り返さないために設立したIMF

IMFには、世界中のほとんどの国が加盟しています。IMFの第1目的は、国際間の通貨システムの安定を維持することです。具体的には、為替レートを安定させ、国際間の資金決済をスムーズに行わせることです。

為替の安定とスムーズな資金決済は、世界各国の経済が成長し続け、生活水準が向上するためには必要不可欠です。

IMFは、国際連合の専門機関です。1944年7月、米国ニューハンプシャー州ブレトンウッズで45カ国の政府代表が出席した会議で、設立が合意されました。

設立目的は、1930年代の世界恐慌の一因となった経済政策の失敗を繰り返さないためです。為替レートが安定するような通貨システムを監視したり、貿易の障害となるような為替規制をなくすよう加盟国を促すのが主な役割です。

1945年12月に29カ国が署名して発足したIMFは、2008年1月現在で185カ国が加盟しています。

IMFの役割は、世界金融の安定

IMFの役割は、経済危機に瀕した国に対して資金援助を行なうだけではありません。加盟国が経済的に自立し、充分機能する金融システムを持ち、通貨の安定が維持できるような金融技術のサポートを行っています。

各国間での為替レートの安定とスムーズな資金決済のために、IMFは世界全体や地域の経済・金融情勢を監視しています。定期的な経済見通しのレポートを発表し、世界各国の官民あらゆる経済政策・事業計画の立案の参考資料にされています。

また、必要に応じて、経済の安定を促進する政策への助言を行います。一国の金融政策の策定や運営に必要な専門知識、税制、統計などの技術支援を行い、政策運営の向上・強化につなげています。

それでもなお、ある国が対外的な支払のために外貨不足に陥って、国際収支の上で問題が生じた場合には、一時的な資金援助を行います。

実は、経済的に苦境にさらされた国がIMFによる支援を受ける際、「融資を受ける」と表現されていますが、厳密には「融資」ではありません。実際は、その国の通貨を支払い、IMFの資金から外貨を買い入れます。経済の混乱が収まって、その国がIMFから自国の通貨を買い戻した時に、「融資を返済した」とみなされています。

では、IMFはどのような危機の場面で、資金融資を行ってきたのでしょう。過去の例を次のページで見てみましょう。