1ページ目 【議院内閣制をつくりあげた1人の偉大な政治家】
2ページ目 【議会による内閣不信任、内閣による議会解散の原理とは?】
3ページ目 【日本国憲法における不信任決議・解散・総辞職の制度を知ろう】

【日本国憲法における不信任決議・解散・総辞職の制度を知ろう】

内閣不信任決議権は衆議院だけ

内閣不信任決議権は、前ページで引用した日本国憲法第69条にあるように、衆議院だけに与えられた権限です。これは、解散があるのが衆議院だけなので、内閣が対抗して解散をすることができる衆議院だけを対象としているものと考えられています(他にも説はありますが)。

もちろん、参議院も内閣の責任を追及できないわけではありません。実際、「内閣問責決議」が行われたことがあります(1949年)。しかし、これには法的拘束力はなく、内閣に義務が発生することもありません。

また、衆議院であっても、各大臣について個別の不信任決議をしても、同じように法的拘束力はないとされています。

解散してもいずれ総辞職

解散と総辞職
内閣は不信任に対し解散を選んでも、いずれ総辞職する。この場合の総選挙は内閣不信任を国民に問う意味があるのだ
内閣は衆議院の不信任決議に不服がある場合、衆議院を解散できることはすでに述べました。ただし、憲法で決議から10日以内に解散しないと総辞職しなければならないと規定されています。

衆議院が解散されたときは、40日以内に総選挙を行い、30日以内に国会(特別国会)を開かなければなりません(憲法第54条1項)。

そして、このような規定があります。

日本国憲法 第70条
内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があったときは、内閣は、総辞職をしなければならない。

つまり、解散総選挙→特別国会の召集→内閣総辞職という流れが義務づけられているわけですね。内閣はたとえ解散しても、必ず総辞職します。

内閣の与党が総選挙で勝てば、国民が改めて首相に信任を与えたと解釈され、解散した首相を中心とした新内閣が発足します。負けてしまえば、新たな首相が指名され組閣されることになります。

こういった意味で、衆議院選挙は「だれを首相にするかを国民が選択する選挙」ということができるわけです。国民が首相を「決める」ことは無理にせよ、どちらかを「選ぶ」ことはできるようになっているわけですね。

内閣総理大臣が「欠ければ」総辞職

議院内閣制は内閣の議会に対する「連帯責任」が基本です。このことは次回の超基礎講座でお話しようと思いますが、そのため内閣の「連帯行動」が求められます。

ですから、内閣のなかの大臣が個別に辞めても内閣は総辞職しませんが、内閣総理大臣が辞職すれば、上に引用した憲法第70条でいう「内閣総理大臣が欠けた」とみなされ、総辞職することになります。

さて、

「内閣総理大臣が欠けた」というのは、辞職の場合だけではないと考えられています。いろいろなケースが想定されますが、

・死亡した
・資格を失った(選挙で落選した、日本国籍を失ったなど)

このような場合を通常「欠けた」と状態だと考えられています。

2000年、当時の小渕首相が倒れたとき、病状からいって首相の職務に復帰できる可能性がないため「欠けた」とみなされ、内閣が総辞職した、という例もありました。

総辞職しているときに「誰が天皇の権限を決定するのか?」

旧首相官邸
こちらは旧首相官邸、いまの首相公邸。内閣は総辞職しても、次の内閣ができるまで事務を行わなければならない(Photo:(c)東京発フリー写真素材集
さて、解散総選挙の後、内閣が総辞職してから、新内閣が誕生する。という流れをご紹介しました。

では、

この間、天皇の権限を決定する(助言と承認を与える)のはだれでしょう。その内閣が総辞職しているわけです。

特に、

「国会の指名に基づいて内閣総理大臣を任命するよう天皇に助言する」のは、誰なのでしょう?

正解は、前の内閣です。憲法で、新内閣ができるまで、総辞職した内閣が事務的な職務のみを行うことが規定されているのです(第71条)。このような内閣を「職務執行内閣」といいます。

そのため、総選挙で負けて政権を譲り渡した首相は、天皇に敵である新しい首相を任命するよう助言しなければならないのですね。ずいぶん辛いものがありそうです。

特に、任命式では前の首相が「職務執行内閣」最後の仕事として、新首相に手渡す任命書を天皇に渡す役目をしなければなりません。政権交代でこれを行わなければならない前の首相の心中や……?

さて、次回は内閣の権限について説明していきましょう。

▼こちらもご参照下さい。
大人のための教科書 政治の超基礎講座

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