WTI、原油のニュースで耳にするけど?
WTIはジェット燃料にも使われる、品質の高い原油の先物 |
WTIは、米国テキサス州で産出される原油で、ガソリンを多く取り出せる硫黄分が少ないので品質が高く、人気があります。暖房の燃料や、ジェット燃料などにも使われる、付加価値の高い上質の原油です。そのため、WTIは原油価格の先物取引の1つであるものの、それだけにとどまらずに、原油価格の代名詞とも言ってよく、さらに世界経済の重要な経済指標の1つという位置づけにもなっているのです。
これを先物取引の原商品として売買する市場としては、ニューヨーク・マーカンタイル取引所の他に、北海原油を標準とするロンドン国際石油取引所(IPE)、中東ドバイ産原油を標準とする東京工業品取引所(TOCOM)があります。
ニュースでよく言う、原油価格とは?
一般に、ニュースなどで「1バレル=○○ドル」などと伝えられている原油価格とは、実際の原油を購入する際の、スポット価格のことを言っているのではありません。先物の原油価格のことなのです。先物取引とは前述のとおりバーチャルの取引で、実際にほとんどのケースでは原油そのものをやり取りするわけではありません。原油価格としてニュースで伝えられている価格は、一般にはニューヨーク・マーカンタイル取引所のWTIという先物価格のことなのです。
先物取引には実際の買い物だけではなくバーチャルな投機的な資金が入ってくるために、本来の原油の需要以上の影響が価格を大きく動かします。現在では新興国の発展に伴う原油の需要も確かに高いのですが、それ以上に投機資金による原油価格の変動も大きいのが現状です。
現在の原油価格高騰は、投機資金の対象として原油が注目されていることが背景の1つです。今後、原油に代わる投機資金の魅力的な運用先が出てくるようなら、少しは原油価格の高騰が抑えられることにもなるかもしれません。
【関連サイト】
・『原油の1バレルは何リットル?ガロンって?』
・「バレル」(All About用語集)
・『ガソリン価格はどこまで上がるのか?』(All About“世界のニュース・トレンド”ガイドサイト)
・『「原油価格」はなぜ、上昇を続けるのか?』(All About“よくわかる時事問題”ガイドサイト)
【関連リンク】
・物価・インフレ・デフレ・地価