文章:石原 敬子(All About「よくわかる経済」旧ガイド)
原油価格を伝えるニュースでは、主に「ニューヨークの原油先物」とか「WTI」という言葉を耳にするでしょう。しかし、「よく聞くけれど、いったい何?」と思う素朴な疑問を抱く方も少なくないはず。簡単に解説を致しましょう。

<INDEX>
「原油先物の先物」って?(1P目)
先物は、ある意味バーチャルな取引(1P目)
WTI、原油のニュースで耳にするけど?(2P目)
ニュースでよく言う、原油価格とは?(2P目)

「原油先物の先物」って?

コンテナ
原油はその名の通り、油田から掘った状態の油のこと
原油とは、油田から採掘した状態の、精製されていない石油のことです。

先物とは、「先」つまり将来に、ある商品を受け渡す条件で売買の取引を行う金融商品のことです。将来というのは、具体的には1カ月先とか3カ月先、1年先などです。

ある商品として先物の対象となっているものを原商品といい、それが原油の場合、原油先物取引といいます。他の原商品には、金融商品や農産物・金属資源などがあります。

金融先物取引の原商品は、TOPIXなどの株価指数、国債指標、ドルやユーロなどの通貨、金利などです。商品先物取引の原商品は、主に一次産品が取り扱われています。具体的には、原油の他に大豆や小豆、トウモロコシ、コーヒー、天然ゴムなどの農産物、金、銀、プラチナ、アルミなどの金属や鉱物資源などがあります。

日本では、金融先物取引は東京証券取引所や東京金融取引所などで行なわれ、商品先物取引は、東京穀物商品取引所、東京工業品取引所などで取引されています。また、取引所を介さずに、投資家が先物取引業者と直接に相対取引をする方法もあります。

先物の取引は、ある意味バーチャルな取引

先物取引には、「買い」と「売り」があります。「買い」は、これらの商品の取引を、まずはじめに買うところからスタートして決められた受渡日までに転売します。「売り」は、売るところからスタートして決められた受渡日までに買い戻しをします。「売り」から入る取引とは少しわかりにくいですが、原商品を持っていなくてもそれを売ることができ、後でそれを買い戻すことで取引が終了します。高値で売り建てておき、その後に値下がりしたところで買い戻せば、その差額が利益となるわけです。

先物取引では、担保を提供することで、実際にその取引相当の金額や原商品を持っていなくても取引ができます。そのため、実際に投資をする資金額よりも取引額が大きくなりがちで、損失も利益も大きな額になりやすいのです。先物取引での決済は、差金取引といって価格差を清算すれば良いという方法です。つまり、取引を行なった時には、買って転売した、または売って買い戻した間の価格差を清算すれば良いのです。もちろん、取引の際には業者に支払う手数料がかかります。

なお、このように先物取引はほとんどバーチャルな取引なのですが、現物の原商品で清算をしても構いません。

もともと先物取引は、その現物の価格変動リスクを回避する目的で開発されました。しかし最近では、大きな金額を動かせることから、単なる投機としても利用されています。この投機資金が流入していることで、実際の品物に対する需要以上の投資ニーズを集めており、これが原油価格の高騰している要因のひとつとして、無視できないものになっています。

なお、先物取引に対して、実際の品物をやり取りすることを現物取引といいます。石油会社や商社が原油の現物を売買する場合の価格はスポット価格といい、日本経済新聞などには、ドバイ原油のスポット価格が掲載されています。

では次に、これもよく聞く「WTI」。次のページで「WTI」の意味を解説することにしましょう。