インフレの原因は、モノから?お金から?
モノが物価を決めるのか?お金が物価を決めるのか? |
実は、経済学者の中には、「ゲーム機が先」派と「お金が先」派の両方の考え方の立場があります。
「ゲーム機が先」派をケイジアンといい、ケインズ経済学の考え方を支持している人たちです。ゲーム機を欲しいと思う人がゲーム機の数より多くなったので値段が上昇したとか、逆に、欲しいと思う人が少なくなったので値段が下がった、という考え方です。
「お金が先」派をマネタリストといい、お金の量が増えたり減ったりすることで、ゲーム機の値段をコントロールする、という考え方です。中央銀行(日本の場合は日本銀行)が金融政策によって市中に出回るお金の量を操作し、物価をコントロールする方法は、この考えに基づいています。
現状の日本は、両者混合
現在の日本国内の物価動向は、両方の影響が混ざり合って起こっていると言ってよいでしょう。両方がお互いに動き出してデフレから脱却してきました。エネルギーや金属の価格高騰は、中国などの国の消費量が年々増加することが原因で起こっています。また、長引いた不況のため、企業は生産を減らしたり、在庫を減らしたりしてきました。そのためにモノが少なくなっていたところに、買い替えサイクルがやってきたのも一因です。もっと大きな周期では、工場などの機械などもモノの1つで、これらにも買い替えのサイクルがやってきていたことも要因となっていました。
日銀が行っていた量的金融緩和策は、お金の出回る量を増やしました。デフレから正常な物価水準に誘導していたこの政策は、「お金が先」の考え方によるものです。金利を実質ゼロの水準に引き下げていたことも同様です。これによって預金よりも消費にお金が回ったり、低い金利で借りた資金が出回ったりすることを意図したものです。
景気には周期があり、物価もインフレとデフレを循環しています。その時々に応じて、モノの量が先導する物価変動もあれば、お金の量を動かすことで起こる物価変動もあります。これらを予見し、行き過ぎず遅れもしない政策を担うのが、日銀の役割というわけなのです。
【関連サイト】
・「★超入門★ 値段の決まり方と役割」
・「日銀の金融政策を読むための、3つの物価」
【関連リンク】
・「金利・為替・物価・地価」