(2005.05.10)

ようやく再開です。前回は、国会の意義について考えました。今回は、なぜ国会は衆議院・参議院の二院制をとっているのか、考えていきたいと思います。そして、同時に他の先進国などの二院制についても説明していきます。

1ページ目 【実はけっこう、先進国でも多い「一院制」議会の国々】
2ページ目 【「二院制」といってもいろいろある、世界の二院制議会】
3ページ目 【参議院改革が先か、それとも一院制にしてしまうべきか?】

【実はけっこう、先進国でも多い「一院制」議会の国々】

そもそも「人民の意思」を2つの議院に分けられるのか?

普通、学校の教科書などでは、二院制の意義を説きます。しかし、私は、その前に、このことから考えたいと思います。

つまり、「なぜ[参議院]がもう一院としてなければならないのか」。

『社会契約論』で有名な18世紀フランスの啓蒙思想家、ルソーはこう主張しています。主権は分割できない、と。ルソーは人民主権を説いていましたから、ここでいう主権とは、人民の意思のことです。人民の意思が、なぜ分割できるのか。

そう考えると、人民の意思を、2つの議院にわけることの意義がよくわからなくなってきます。はっきりいって、1つの議院で十分なのではないか。そう、考えてしまいますよね。

それでは、先進国の議会制を調べてみましょう

そんなことで、他の国はどうなっているのか、調べてみました。とはいっても、人口数千人の国、独裁国家、そんなものまで調べていてはきりがないので、ここでは「先進国クラブ」の異名を持つ、OECD(経済協力開発機構)加盟30か国の議会を調べてみました。

(ちなみに、加盟国は……オーストリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、フランス、ドイツ、ギリシア、アイスランド、アイルランド、イタリア、ルクセンブルグ、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スロバキア、トルコ、イギリス、アメリカ、日本、フィンランド、オーストラリア、ニュージーランド、メキシコ、チェコ、ハンガリー、ポーランド、韓国、スロヴァキアです。)

まず、
二院制議会を持つ国:17か国
一院制議会を持つ国:12か国
その他      :1か国(ノルウェー)

ノルウェーは、最初一院として選挙した後、議員の間で上院議員になる人を決めるという変則的な形なので、その他にしました。

けっこう、一院制の国、多いです。

主要国としては、スウェーデン、デンマーク、アイルランド、ニュージーランド。このような民主的国家であっても、一院制でやっていこうと思えば、やっていけているわけです。

日本が二院制をとる「意義」とは

さて、ここで教科書通りに、日本が二院制をとる「意義」について、考えていきましょう。

二院制の意義について、日本国憲法ではなにも説明されていません。一般的にはこのような理由からと言われています。

1)国民の多様な意見を反映するため。
2)慎重な審議を行うため。


1)については、憲法が衆議院議員の任期を4年、ただし解散によって任期終了、としているのに対し、参議院議員は任期6年で解散がない、また3年任期がずれていることによって半数ずつ3年おきに改選、というところ(憲法第45・46条)に憲法制定者の意思が反映されていると言われています。

つまり、任期が短い議員で構成される衆議院は、そのとき最も近い民意を反映する。一方、任期が長い議員で構成される参議院は国民の長期的な視点を反映する。ということだろうと思われています。

さらに、衆議院は選挙でそのつど「総とっかえ」するので、連続性に乏しい。一方、参議院は半数ずつの改選ですから、半数はかならず残っているわけで、連続性がある。

このことから、衆議院は短期的な国民の視野から、参議院は長期的な視野からそれぞれ審議にあたることができると考えられています。

(ですから、衆議院選挙は必ず「総選挙」ですが、「参議院総選挙」という言葉は存在しないわけです。気をつけましょう。)

衆議院・参議院の間の選挙制度の違い

さらに、公職選挙法によって、衆議院は全国300小選挙区から選出された議員と、全国11ブロックによる比例代表によって選出された議員から構成されるようになっています。衆議院は、「地域代表」の色合いが濃くなっています。

それに対して、参議院は都道府県を単位とした選挙区から選出された議員と、全国一ブロックによる比例代表によって選出された議員から構成されるようになっています。参議院は、「都道府県代表」+「全国代表」の色合いが濃いわけですね。

また、衆議院の被選挙権が25歳以上なのに対し、参議院の場合は30歳以上と、ここでも区別がされています。これは、参議院議員により「人生経験」を求めているのでしょうか。

このように、衆議院と参議院を異なる方法で選ぶことによって、いろいろな人の意見を反映させようというのが、1)理論「国民の多様な意見を反映」というものです。

参議院で「慎重な審議」は実現されているか?

一方、2)「慎重な審議を行うため」のいうのも、参議院がおかれる理由としてよくあげられるものです。

どうしても「多数の代表=数の代表」となりやすい衆議院の横暴と暴走を防ぐため、「少数の代表」「理の代表」である参議院が、これを監視する必要があるのだ、ということが、よく説明されています。

しかし、この監視機能が働くためには、参議院が衆議院とは独立したチェック機関である必要があるわけです。

しかし、参議院の現状は、まさによくいわれる「衆議院のカーボンコピー」です。衆議院とほぼ同じ政党で構成され、政党の比率もだいたい一緒。無所属の学識経験者のような「理の代表」と思われる人はほとんどいません。

また、そんな「理の代表」が衆議院の暴走をストップしている、そんな状況も、ほとんど生まれていません。法案のほぼすべては、衆議院の議決とおり参議院で議決されています。

このため、「参議院改革」あるいは「参議院無用論」などが一部で取りざたされているのです。

さて、次のページで、他の二院制をとっている国は、なぜ二院制なのかをみていきましょう。

◎OECD諸国の議会制