業種によって景気の実感はこんなにも差が!
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メーカー勤務はフトコロ潤い、サービス業は涙、涙・・・ |
業種別のサラリーマン平均給与を、2002年と2005年で比較してみました。
●2002年と2005年の業種別サラリーマン給与の比較(1年を通じて勤務した給与所得者の場合) | 2002年 | 2005年 |
化学工業 | 557万円 | 566万円(+1.62%) | 金属機械工業 | 521万円 | 559万円(+7.29%) |
金融保険・不動産業 | 554万円 | 545万円(-1.62%) | 運輸通信公益事業 | 528万円 | 503万円(-4.73%) |
建設業 | 464万円 | 447万円(-3.66%) | その他製造業 | 407万円 | 421万円(+3.44%) |
サービス業 | 426万円 | 401万円(-5.87%) | 卸小売業 | 372万円 | 363万円(-2.42%) |
繊維工業 | 337万円 | 347万円(+2.97%) | 農林水産・鉱業 | 304万円 | 304万円(→) |
平均 | 448万円 | 437万円(-2.46%) |
業種別に見ると、「いざなぎ超え」の長期好景気を実感するサラリーマンは、化学工業、金属機械工業、その他製造業、繊維工業・・・つまりメーカーに勤務する人、実感できない人は金融保険・不動産業、建設業、サービス業、卸小売業ということになります。メーカー主導で輸出中心の景気回復、と言う説明がここでぴったり当てはまるようです。
なお、ここで注目すべき点は、格差が大きいことではないでしょうか。上昇率の大きい金属機械工業と下落率の大きいサービス業では、優に10ポイント以上の差がついてしまっています。もっとも、2002年当時の金属機械工業といえば不況真っ只中でしたので、川上産業と川下産業の時間のずれがあるとも言えるかと思います。
それを踏まえると、その時間差から今後の景気に関しては出遅れのサービス業や商業がどれだけ回復をするかと同時に、先行したメーカーがどれだけ長期に好業績を維持できるかにかかっているかでしょう。
なお、前ページの表で見られたことですが、所得税の負担が重くなっていることも気がかりです。いくらサラリーマンの所得が増えたからといっても、源泉徴収される所得税の負担が重くなっていれば可処分所得は減り、景気の実感が湧かないのは当然のことですね。
11月にも「いざなぎ景気を超えるか?」とにぎわってはいるものの、企業の人件費削減の下に長期好景気が成り立っていること、勤務先企業の規模や業種間での格差が大きいことが今回の特徴であり、その結果、人々に景気回復の実感が湧かないのだろうと思われます。
【関連サイト】
・「いざなぎ超えとは?いざなぎ景気って?」
・「いざなぎ超え、実感が湧かないのはなぜ?」
・「民間給与実態調査結果」(国税庁)
【関連リンク】
・「景気動向、好況・不況を読む」
・「生活と経済・金融商品・マネープランニング」