文章:石原 敬子(All About「よくわかる経済」旧ガイド)
株価の値動きを示す指数「TOPIX(東証株価指数)」の浮動株指数化、第一弾の変更がいよいよ10月末に迫っています。どうやら株価にも影響が出そうなのだとか…。そこで今回は、TOPIXの浮動株指数化に関して、簡単にご説明しましょう。

<INDEX>
そもそも、TOPIXってなに?(1P目)
「浮動株」と「固定株」の違いとは?(1P目)
運用しようとするだけで値がつりあがる?(2P目)
具体的にTOPIXはどう変わる?(2P目)
新しいTOPIXは株式市場にどんな影響を与えるの?(3P目)
もう一歩、踏み込んだ見方が!(3P目)

そもそも、TOPIXってなに?

東証
東京証券取引所は長いこと投資家におなじみだったTOPIXの算出方法を新しくしようと試みる!
TOPIXの浮動株指数化の話の前に、そもそもTOPIXとは、何なのかおさらいしましょう。

TOPIX(東証株価指数)とは、東京証券取引所一部上場の全銘柄の時価総額を指数化したものです。「東京証券取引所一部上場の全銘柄の時価総額」といってもあまりピンときませんが、「東証一部に上場している全銘柄の、発行している全ての株数の株価合計」ということです。別の言い方をすれば、東証一部に上場しているすべての銘柄を買うことができる金額、とも言えます。

よく耳にする企業の「時価総額」というのは、株価に発行済株式数をかけた数値のことです。つまり、「時価総額」が大きいというのは、株価が高いだけではなくて、発行済株式数が多いということも要因なわけです。ちなみに、現在、東証で一番、時価総額が大きな会社はトヨタ自動車。二番目はNTTドコモです。

時価総額=株価×発行済株式数

さて、TOPIXとは、全体の時価総額の動きを日々「指数」で追っていくわけですが、この指数とは一体何を指すのでしょう。実は、この指数は、1968(昭和43)年1月4日の東証第一部の時価総額を100とした時に、日々の東証第一部の時価総額はいくつなのか、といった数値です。たとえば、TOPIXが1380.00といったら、東証が1968年1月4日当時の13.80倍の規模になったということになります。つまり、従来のTOPIXを上げ下げしているのは各企業の時価総額で、先ほどのトヨタ自動車やNTTドコモといった時価総額の大きな会社ほどTOPIXの算出に影響を与えるということになります。

「浮動株」と「固定株」の違いとは?

株価ボード
発行している株式のうちの全てが常に流通しているわけではない!
ここで注意が必要なのは、企業が発行している株式のすべてが市場に流通しているわけではないということです。たとえば親会社が保有している株式や、金融機関との持ち合い株式など、実際にはほとんど売買をする可能性の薄い株式、すなわち、「固定株」と呼ばれるものがあります。反対に「浮動株」というのは、文字通り、浮動する株式、つまり流通する株式のことを指します。

一般的に、浮動株が多い銘柄は市場に出てくる注文の量が多いので流動性は高くなります。逆に浮動株が少ない銘柄は、市場に出る注文の量が少ないことので、流動性は低くなる傾向があります。この流動性、というのは流通量が多い・少ないを示しています。

発行済株式数に占める浮動株は銘柄ごとに違います。たとえば、時価総額1、2位トヨタ自動車とNTTドコモ。東証が発表している、両社の浮動株比率は、トヨタ自動車が0.55、NTTドコモは0.30です。つまり、トヨタ自動車は、市場で流通している株式は発行済株式数のうち55%、NTTドコモは30%ということになります(2005年10月現在、今後も見直しあり)。

NTTドコモはみなさんもよくご存知のとおりNTTの子会社です。NTTドコモの発行済株式のうち、約60%をNTTが保有しています。この分は流通しないだろう株式と判断されます。ほかに、金融機関やお付き合いのある会社や経営者などが持つ株式も同様で、それらを除いて東証ではNTTドコモの流通する株式は現在30%だと発表しています。発行済株式数のうち、3分の1弱しか流通していないと見られているのに、TOPIXの算出に際し、9兆円強もの時価総額に応じた比率を使うと、困ったことが生じます。

固定株…親会社や経営者、取引先が保有している株や、銀行などとの持ち合い株
浮動株…一般に流通する株式

困ったこととは?次のページで解説します。