フィリピンへの緊急支援を検討。しかしコストは?
しかしこのような食糧危機に陥っている状態で、過去の規定ばかりに囚われていても仕方ありません。日本政府はフィリピンのコメ危機を救うために、ミニマムアクセスで輸入したコメの内、20万トンを緊急支援することを検討しています。ただ緊急支援と言っても、それに伴う経済的損失は考える必要があります。ミニマムアクセス米は、1トンあたり平均購入価格が7万円であると言われています。20万トンを無償支援すると、単純に計算して140億円ものお金をタダで渡すことと同じになります。
高すぎて輸出できない日本米
日本人の食卓には欠かせない日本米だが、輸出となると…… |
ところが日本米は、生産者価格の時点でフィリピンの流通米よりも高いのです。これをそのまま輸出してフィリピン国内で流通させても、フィリピンの流通米でも買えない消費者が買えるはずがありません。
結局のところは、日本が米を海外に渡すには、輸出ではなく無償で提供するしかないことになります。アジアではコメ不足で人々が苦しんでいるのに、日本国内の余っている米を輸出できないのです。こうなった原因は、日本政府が長年続けてきた農家保護の高価格政策にあります。
もちろん農家を保護することも必要なので、一概に高価格政策が間違っていたと決めることはできません。しかし、このコメ危機の時代になって、その歪みが表面化してきています。現在のところ、この点において諸外国から批判されたりはしていませんが、場合によっては将来批判の対象になるかもしれません。
参考サイト
IZA(2008/4/5)JanJanNews(2008/4/21)
ダイヤモンドオンライン(2008/5/29)
共同通信(2008/5/19)
朝日新聞(2008/5/19)
東京新聞(2008/6/2)
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