前回の記事「コメ不足のアジア、米余りの日本」では、コメ不足に悩むフィリピンを始めとするアジア諸国と、米余りが問題となっている日本の事情をお話しました。それでは、このように米の需給が歪んでいる状態なのに、日本の米がアジアに輸出されないのはなぜでしょうか?

【CONTENTS】
この状況でも米を輸出できない理由・ミニマムアクセス(1P目)
フィリピンへの緊急支援を検討。しかしコストは?(2P目)
高すぎて輸出できない日本米(2P目)

この状況でも米を輸出できない理由・ミニマムアクセス

日本は米を自給していますが、実は少しだけ海外からコメを輸入しています。それは、1993年のウルグアイ・ラウンドで定められた合意に基づく、ミニマムアクセスという最低輸入量制度で決められているためです。

日本はもともと、国内農家保護のために海外からのコメ輸入には極めて消極的でした。というのも、海外のコメは為替レートの都合もあってとても安くなっているからです。これまで話したフィリピンのコメや、日本米の生産者価格・消費者価格を一覧表にすると以下のようになります。
<フィリピンと日本の米、価格比較表>
フィリピンと日本の米、価格比較表
それぞれ1kgあたりの値段。フィリピン政府米、流通米、日本米生産者価格は、おおよその値段。


このように、フィリピンでコメが値上がりして国民が苦しんでいると言っても、日本の国内米よりは遥かに安く、日本の米価格が下がって農家が苦しんでいると言っても、フィリピンの価格よりは遥かに高いのです。

話をミニマムアクセスに戻して、安い海外のコメが自由に入ってくると、国内の農家は壊滅してしまいます。そこで日本は海外からのコメに高い関税をかけて、コメの輸入を極めて厳しくしていったのです。

諸外国はこれが気に入らず、自由競争の原則に違反するとして、少なくともある程度はコメを関税なしで輸入するように求めました。そうして決められた最低量が、ミニマムアクセスです。

ミニマムアクセスの規定で輸入されるコメは、50%強がアメリカ、残りはタイなどからです。しかし、これらは国内農家保護のために食用には使われずに、もっぱら飼料用などに使われているだけです。在庫もかなり残っている状態です。またアメリカは、日本が国内で消費することを要求してきています。