日本国内でも食糧価格の高騰が続く中、米だけは値上げになっていません。それは、日本は米をほぼ100%自給しているためですが、そうではないアジアの他国では、大変なコメ不足が起こっています。なぜこのような格差が生じるのでしょうか?

【CONTENTS】
天候不良や輸出制限で高騰するコメ価格(1P目)
コメを輸入に頼るフィリピンの惨状(1P目)
米余りで政府が買い占める日本(2P目)
なぜ日本の米が輸出されないのか?(2P目)


天候不良や輸出制限で高騰するコメ価格

今回のコメ価格高騰の背景にあるのは、世界的な食糧価格の高騰です。昨年から小麦やとうもろこしなど、主要穀物の価格が急上昇しているのはすでにご存知でしょう。これらの背景には、バイオエタノール開発の拡大や新興国の需要増加による、需給の逼迫があります。

世界的な食糧価格高騰による影響を受けつつ、さらにコメにとって大きな打撃になったのが、天候不良による不作です。例えばコメの産地として重要な役割を持つベトナムはコメを二期作で栽培していますが、今年の冬期は冷害のため、植えた苗が枯れてしまいました。

このような状況を見て、貿易業者は価格高騰を予想してコメを買い占めようとします。買い占めのために価格が上昇することを危惧したベトナム政府は、コメの輸出量を制限。しかし輸出制限のために、さらにコメの国際価格が高騰してしまう結果になりました。

コメを輸入に頼るフィリピンの惨状

フィリピンの地図
フィリピンは日本のような島国だが、多くの民族が共存している。
日本を始めアジアの国はコメをたくさん食べる国が多いですが、その中でも世界有数のコメ輸入国であり、コメが主食になっているフィリピンの状況は極めて厳しくなっています。フィリピンのコメ年間消費量は約1200万トンで、その内200万トン、約17%を輸入していると言われています。日本の消費量が平成17年で750万トンとなっているので、日本よりもかなり多い量のコメを食べていることになります。

フィリピンでは政府が1度買い取ってから消費者に流通する政府米と、政府の手を通さずに直接売られる流通米の2種類のコメがあります。両者の違いは価格で、政府米は1キロあたり約40円、流通米は80円と言われています。したがって政府米は低所得層のためのものです。ただし味は流通米の方がよいと言われています。

しかし政府米約40円、流通米約80円という価格は、今年の4月末までに年初から約30%も値上がりした価格です。そのために、これまでは流通米を買える所得のあった所帯も、政府米を買うしかなくなってきています。そのために、政府米を売るお店には行列ができることもしばしばです。

コメの価格高騰・不足のために、フィリピン国内のレストランではすべてのメニューが「半ライス」になるケースも出てきています。コメ不足への不満は現アロヨ政権にぶつけられ、アロヨ政権の支持率は低迷し、社会不安が急速に高まっています。政府はコメを買い占める業者を処罰したりして対策を実行していますが、コメ価格の高騰を根本的に止めることはできていません。

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