文章:石原 敬子(All About「よくわかる経済」旧ガイド)
最近、経済や金融の知識、証券投資などを学ぶセミナーが大盛況のようです。証券会社がインターネット上で展開している株式売買シミュレーションも、経済を肌で学ぶツールとして利用されています。さらに、実践を通して経済や投資を学ぶ場として「投資クラブ」が、仲間と楽しみながら学ぶというところがウケているようです。今回は、投資クラブについてご紹介しましょう。
株式投資をはじめてみたいけど、証券会社の敷居は高い。さて、あなたはどうする? |
<INDEX>
投資を始めたい、でも怖い、どうする?(1P目)
大儲けしようと思わないから儲かる?(2P目)
投資クラブの声(3P目)
投資クラブの作り方(3P目)
「投資クラブ」などというと、怪しい儲け話だと思う方も少なくないようです。ところが、そうではありません。証券投資の学習をしながら、小口の資金を出し合って投資経験を積む「サークル」です。大学生や、主婦のグループが、投資クラブを通じた資産運用の体験をまとめた本が出ているほどです。
「主婦の株、儲かったらみんなで温泉に行こう 」(ミモザ投資クラブ著)
「東大生が書いたやさしい株の教科書」(東京大学Agents著)
「ビアーズタウンのおばあちゃんたちの株式投資大作戦」(ビアーズタウンレディース投資クラブ編)
投資を始めたい、でも怖い、どうする?
2005年4月から、ペイオフが全面解禁になり、個人の金融資産も株式や債券に代表される市場型金融の時代を迎えたといってもよいでしょう。そんな中で、今まで証券投資に無関心だった人や縁のなかった人が資産運用にトライしようとするのは当然の流れです。ただ、その気はあるものの、まだ二の足を踏んでいる方は少なくありません。理由は、「よくわからない」「怖い」「証券会社は入りにくい」「資金がない」「用語やしくみが難しい」などのようです。ではどうしたらその問題がクリアできるのでしょう。
◎投資を初歩から学ぶ
◎少額から投資経験を積む
◎目先の利益や損失にとらわれずに長期的視野をもつ
◎自分の意見を持つと同時に他人の意見も聞く
◎継続する
これらを、気のあった仲間同士で、お互いに助け合いながら楽しく行う勉強グループが「投資クラブ」です。
アメリカでは50年以上の歴史があり、趣味の仲間、学生時代の仲間、近所のおしゃべり仲間などで結成するさまざまな成り立ちの投資クラブが存在します。その数は、約35,000クラブにものぼります。イギリスでもアメリカを参考に、1997年からの5年間で、投資クラブ数を350から7,000にまで増やしました。
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日本でも次第に注目されるようになり、1995年に日本証券業協会が日本版投資クラブの創設準備を始めました。1997年には投資クラブの課税の取り扱いを明確にして投資クラブがスタート、現在では約200クラブが活動をしています。
株式投資、というと、ギャンブル性のある資産運用、というイメージを持っている方もまだ多いでしょうが、今後の人生設計に必要なもの、と考える方も増えてきているのは事実です。現に、東京証券取引所や証券会社が開催する投資セミナーは、大入り満員です。ライブドアの堀江社長の発言も手伝ってか、投資や資本主義のしくみを理解したいと思う人々も増えてきました。株式を買い、資産運用をすることだけが目的なのではなく、株式投資を通じて生きた経済を学ぶ、ということを求めている層が着実に増えてきています。
また、投資クラブのメンバーは、たいてい、自分個人の名義でも株式取引をしている方が多いようですが、個人名義の売買よりも、投資クラブ名義で売買した銘柄の方が儲かるとおっしゃいます。
次のページでは、そのナゾを見ていきましょう。