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有価証券報告書とは何か(2ページ目)

西武鉄道が、有価証券報告書に虚偽の記載をし、それが悪質だったために、東京証券取引所の上場廃止となります。その、有価証券報告書とは、何のためにあり、何が書かれているのでしょうか?

執筆者:石原 敬子


これ以上簡単に説明できない!有価証券報告書に書かれていること

有価証券報告書を目次の順番に追っていくことにしましょう。

《表紙》
会社名や所在地など会社の概要を記載。

第一部 企業情報

《第1 企業の概況》
この企業は何をしている会社なのか、沿革、どのくらいの規模の会社なのか、従業員がどのくらいいるのか。
子会社などがある場合は子会社との関連の状況。

《第2 事業の概況》
企業が一年間でどのくらいの業績をどの分野で上げたのか、活動ごとのキャッシュフローの状況。
さまざまな切り口から売上を見た事業分野(セグメント)の情報。
対処すべき課題、経営上の重要な契約、研究開発などの活動なども。

《第3 設備の状況》
線路
まっすぐな情報開示が求められる

どのような事業でどんな設備投資をしたかの現状。事業所などがある場合、各事業所の設備の状況も。
設備の新設や除却などがあった場合も事業所ごとに記載。

《第4 提出会社の状況》
株式に関してのさまざまな状況に関しての記載。
株式に関して、というのは、株式の総枚数や発行済み株式、新株予約権等の状況、発行済み株式からた資本金などの推移、所有者別の状況、大株主の状況、議決権の状況、ストックオプション制度の内容などのこと。
また、その会社自身が持つその会社の株式、つまり自己株式取得などの状況についても記載。自己株式を取得するに当たっての決議の状況なども合わせて書かれている。
配当、株価の推移、役員の状況についてもここに記載。役員の役名・職名・氏名・生年月日・略歴・所有株式数が明記。

《第5 経理の状況》
連結財務諸表と財務諸表など。
連結財務諸表:連結貸借対照表・連結損益計算書・連結剰余金計算書・連結キャッシュフロー計算書の4つ。親会社がそのグループの財政状態や経営成績を総合的に把握するために作られるもの。
財務諸表:企業の財政状態及び経営成績を把握するために作られたもの。貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書・利益処分計算書など。

《第6 提出会社の株式事務の概要》
決算期がいつなのか、株主総会はいつなのかなど、株式に関しての事務的なこと。

《第7 提出会社の参考情報》
事業年度の開始日から有価証券報告書を提出するまでに、どんな資料がどこにいつ提出されたのかについて。

他に、「第二部 保証会社等の情報」に該当があれば記載し、監査報告書も添付されています。

今回の西武鉄道の虚偽記載は、《第4 提出会社の状況》の中の所有者、つまり株主の状況にウソがあったというものです。大株主については、所有株式数の多い株主10名の、氏名、住所、所有株式数、発行済株式総数の割合を記載します。
国会答弁
なんともお粗末な結果に・・・

コクド(=株主)が持っている西武鉄道(=提出会社)の株券の割合を少なく記入していた、というウソです。

東京証券取引所のルールでは、特定の株主が持っている株の比率が80%を超えた状態が1年以上続くときは、売買取引ができなくなります。コクドなどの関連会社10社が持つ西武鉄道の株の比率が、2004年3月期には実際は計88.57%もあったのに、東京証券取引所での売買が出来なくなると困るので、63.68%と報告していたのでした。

東証での売買取引が出来なくなることを恐れてついたウソが引き金で、本当に東証での上場廃止という皮肉な結果になってしまいました。


【関連サイト】
上場廃止が決定!西武鉄道「ライオンズ売却/コクドを暴く!」(All About「株」ガイドサイト)Yahoo!ニュース「西武鉄道グループ保有株問題 」

【関連リンク集】
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