1.アメリカの在庫の減少
赤い線が原油の在庫統計。6月以来減少している。出展:米エネルギー情報局 |
在庫が減少している原因としては、輸入の減少などが挙げられています。また、オクラホマ州のカッシングという地点の減少が、特に大きかったと言われています。
2.緊迫する中東情勢
昨年の夏にはレバノン情勢の緊迫のために原油価格が上がりましたが、最近問題となっているのは、トルコによるクルド人組織への武力攻撃です。もともとクルド人問題というのは湾岸戦争以来ずっとくすぶっていた問題ですが、ここにきてトルコ軍による攻撃という形で表面化しています。トルコ軍が攻撃しているのは、イラク北部に拠点を置くクルド人武装組織の「クルド労働者党(PKK)」です。今の段階ではまだ小規模な攻撃だけですが、今後全面的な紛争に発展でもしたら、さらに原油事情に悪影響を及ぼしてくる可能性があります。
これからどこまで上がるのか?
それでは、今後この原油・ガソリン価格の高騰はいったいどこまで続くのでしょうか?今回の高騰で恐ろしいのは、誰もそれを予測できる者がいないという点にあります。実際今後どこまで上昇するかについて、自信を持って予測しているアナリストや専門家などいません。ということは、どこまで上がるか誰も読めないということを意味します。ある見方によれば、原油の価格が1バレルあたり1ドル上がると、日本のガソリン価格はリッターあたり0.7円上昇すると言われています。ということは、現在の原油価格を95ドルとして、ガソリン価格をリッターあたり150円とすると。今後原油価格が上昇していくと以下にようにガソリン価格も上がることになります。
●原油105ドル=ガソリン157円
●原油115ドル=ガソリン164円
●原油125ドル=ガソリン171円
もちろんこれは1つの予測に過ぎないので、実際にどうなるかは誰も分かりません。原油価格が110ドル程度まで上がっても、そこから下げに転じるか、あるいはそこに留まるかも全く分からない状態です。
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