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変わりゆくスイス政治(2ページ目)

永世中立国で知られるスイス。イメージ先行の国ですが、意外と政治のことについてはあまり知られていませんね。スイスの建国から今の政治問題まで、わかりやすく解説しています。

執筆者:辻 雅之

1ページ目 【スイスの誕生とウィリアム=テル】
2ページ目 【多言語国家を維持する独特の政治システム】
3ページ目 【時代ともに変わっていくのか「永世中立」】

【多言語国家を維持する独特の政治システム】
大統領は当番、選挙の結果と閣僚比は無関係、重要なのは「ゲマインド」の民主主義


こちらも要チェック! 政治についての基本知識と基本用語

スイスにはいちおう大統領がいます。しかし、大統領は7人の大臣たちによる1年ごとの輪番制。当番なんですね、スイスの大統領って。だからあまり権限はありません。

議会は国民から直接選出される議員で構成される国民会議と、連邦を構成する州(カントン)が選ぶ議員が選ぶ全州会議があります。全州会議の議員選出も実際には州民の投票、あるいは集会によって選ばれています。

いちおうスイスには政党もあります。しかし、選挙の結果に関わらず、主要4政党が閣僚を2:2:2:1で分け合うという体制が、40年も続いています。

なんでこんなことになっているかというと、スイスでは連邦よりも州(カントン)、そしてその下にあるゲマインデとよばれる共同体のほうが、人々にとって重要だからなんですね。

つまり、連邦政府の権限は弱く、多くのことが州やゲマインデに任されている。ゲマインデでは、住民が全員集まる住民集会(ランズゲマインデ)でいろんなことを決めている。スイスの民主主義はこの「草の根直接民主主義」を原点としているのです。

また、スイスはしょっちゅう国民投票を行うことでも知られています。憲法だってもう何十回も変更されています。しかし、国民投票では単に国民の過半数が賛成しただけでは可決の条件にはなりません。過半数の州が賛成しているという「州多数」がないと可決されないのですね。このようにして、各地方の独自性が尊重されています。

つまり、スイスは中央政府のもと統治されている日本とは根本的に違い、州やゲマインドなど各地域の協調によって成り立っている国といえます

議院内閣制でもなく、大統領制でもない。「共同体の集まり」これがスイスという国なのでしょう。

そんなスイスも、やはり時代の波の影響を受けて、じょじょに変わりはじめています。次のページで見ていきましょう。

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