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シリアってどんな国?(2ページ目)

イラク戦争がほぼ終結にむかうなか、今度は「シリア」だ、という報道がでてきました。同じバース党の独裁政権がつづくシリア。どんな国なのか、その基礎知識を解説します。

執筆者:辻 雅之

1ページ目 【何千年も続くシリアの歴史】
2ページ目 【フセイン政権と共通点? シラクのアサド政権】
3ページ目 【ちょっとずつ進みはじめている民主的改革】

【フセイン政権と共通点? シラクのアサド政権】
宗教少数派がバース党を基盤にして多数派を支配する構造


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フセイン政権とアサド政権の共通点は、非常に多くあります。

一つは、バース党を基盤としていた独裁政権という点です。バース党は、もともとアラブ人の統一国家と近代化を目指した超国家的な政党で、創始者はキリスト教徒です。

しかし、フセイン政権もアサド政権も、このバース党を政権基盤とし、軍や国民を独裁的に支配してきました。

ちなみに、イラクとシリアのバース党は、交流があるどころか、かなり悪い関係にあるようです。もっとも、シリアがイラクからの密貿易を通じて、ここ数年関係を修復しているようなふしもあるようなのですが・・・・。

アサド政権とフセイン政権は、宗教少数派を基盤としているところも共通しています。

フセイン政権は人口の3分の1を占めるスンニ派の出身ですが、のこりのシーア派を支配してきました。アサド政権もまた、人口2割弱のアラウィー派を拠点として、のこりのスンニ派を支配してきました。

アラウィー派はイスラム社会の中でも非常に少数派で、クリスマスや復活祭などキリスト教徒の要素も受け入れている独特の教義を持っています。ですからアサド政権誕生前は迫害の対象だったのですが、一転、体制側となっています。

スンニ派への支配は、それほど順調ではありませんでした。反抗するものには容赦のない弾圧を行い、反感を買ったようです。また、社会主義体制をとったために、厳格なスンニ派教徒からはげしい反発もおこりました。

そこで1980年代、スンニ派で原理主義的な「ムスリム同胞団」が、バース党本部を爆撃したり、アサドの側近たちを殺害したりしました。

しかし、アサドは1982年、ハマという都市で発生したムスリム同胞団の蜂起を徹底的に鎮圧、都市は破壊され1万人以上の死者が出たといいます。

こんなシリアとイラク、たしかに西欧社会から見れば「フセインの次はアサド」という感じなのかもしれませんね。

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