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イラクの国境はなぜ直線?(2ページ目)

なんでイラクの国境線ってあんなに直線が多いのでしょう? ここにイラクの複雑な宗教、民族問題が絡んでいるようです。これを乗り越えてイラクに平和は訪れるか?

執筆者:辻 雅之

1ページ目 【イギリスとフランスが机の上で書いた国境線】
2ページ目 【意外と多民族他宗教な国家、イラク】
3ページ目 【最も難関、クルド人問題の解決】

【意外と多民族他宗教な国家、イラク】
民主的なイラク統一は実現するのか?


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1930年代から40年代にかけて、この線引きの通りに、各国が独立していきます。イラクも、民族的に問題を抱えたまま独立をしてしまうのでした。

まず宗教的な対立。イスラム教には多数派のスンニ派と少数派のシーア派という2つのおもな宗派がありますが、イラン以外他の国はほぼスンニ派圧倒的優勢なのに、イラクだけシーア派が人口の3分の2、スンニ派が少数派という不安定な状態にあります。

いまのところ、表立ったスンニ派とシーア派の抗争はみられませんが、湾岸戦争後スンニ派側のフセイン政権がシーア派を迫害したとの情報もあり、この後の混乱が懸念されるところです。

また、北部にはアラブ系ではない山岳民族のクルド人がいます。2000万人ほどがイラク・トルコ・イランの国境付近に住んでいるとされるクルド人たち。戦後、彼らの自治権の拡大なども、問題になってくるでしょう。

そのほか、アルメニア人やトルクメン(トルコ系)人などもいて、けっこう人種問題の複雑な国なのです。

独裁政権フセインが倒れ、イラクが「解放」されることになるか、民族問題や宗教問題が噴出して内乱が始まってしまうか・・・イラクの平和は、これからが正念場と言えるでしょう。

そしてなんといってもいちばん重要な問題となりそうなのがクルド人問題。次のページで解説しましょう。

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