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直接民主制は「民主主義」?(2ページ目)

民主主義をトレーニングするシリーズ第2弾。直接民主主義こそ本来の民主主義だ、という主張がありますが、どうなんでしょうか。先人たちの言葉を借りながら、解説していきます。

執筆者:辻 雅之

1ページ目 【議会制民主主義は「ドレイ」の政治か?】
2ページ目 【国民投票・住民投票の意義と問題点】
3ページ目 【そもそも・・・「絶対に多数の意見が正しい」のか?】

【国民投票・住民投票の意義と問題点】
「みんなで決める」民主主義の基本/でも「決まらない」ことも??


直接民主制の具体的な手段としては、次の3つがあります。

●国民投票(住民投票);レファレンダム 文字通りの国民投票
●国民解職(住民解職);リコール 国民によって重要な役職の公務員などを解職、つまりクビにする制度
●国民発案(住民発案);イニシアティヴ 国民が法律案を提案すること、レファレンダムとの組み合わせも

今日は、このなかでもレファレンダムについてお話していきましょう。

ヨーロッパやアメリカでは、多くの場面でレファレンダムが国民の意志をはかる装置として多用されています。イタリアの王制廃止、EU発足の条件となるマーストリヒト条約の承認・・・などなど、国家の重要な政策についてけっこう前から国民投票としてレファレンダムが行われてきました。

アメリカでも、州単位などで、議会選挙と同時に、複数の提案について州民投票が行われる州がたくさんあります。

これをさらに拡大しようという動きもあり、これら欧米諸国にくらべ、「憲法改正をきめる国民投票」くらいしか国の政治に直接参加できない日本との距離は、広がる一方です。

また、いくつかの地域で行われている「住民投票」も、法律の裏づけがないため、うまく機能しているか疑問な点もあるようです(このあたりはまた改めて・・・)。

しかし、レファレンダムにもいろんな問題点があります。まず1つ、「今の多様化した国民のニーズを、国民投票で1つにしぼれるのか」ということです。

スウェーデンでは、1980年に原発についての国民投票を行いました。「なくすかつづけるか」という単純なものならよかったのかもしれませんが、そんな単純に割り切れるものでもありません。結局、「原発容認」「12の稼働中原発のみ容認」「原発反対」の3項目で国民投票を行うことになりました。結果は・・・

●原発容認 904,968票 18.9%
●稼働中原発のみ容認 1,869,344票 39.1%
●原発反対 1,846,911票 38.7%


結局、「じゃあみんなの意志はどうなの?」という結果に終わってしまいました。これ以上原発は作らないほうがよさそう、くらいはわかりましたが、2番目の「稼働中原発のみ容認」は原発容認なのか反対なのか?

そんなことで、この結果が実際に反映されるまでには相当紆余曲折(うよきょくせつ)、結局国会で1988年になってようやく「2010年メドに原発を廃棄」という国民投票とは違うようなことが決定されることになりました。

イエスかノーか、ではきまらないことがおおい先進国の国民ニーズ。直接投票すれば万事民主主義! と楽天的に考えることは、いましめたほうがよさそうです。
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