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日銀どうやって貨幣量を調整するか? 金融政策ってナニ?

【早わかり金融-5】 今回は、日銀の金融政策について。日銀はどのようにして貨幣量を調整しているのか、貨幣量の変化がどのように経済に影響を与えるかについてお話します。

執筆者:石川 秀樹


★ポイント★
1. 日銀は国債等の売り買いにより代金を払ったり受け取ることにより貨幣量を調整する。これを公開市場操作(売りオペ、買いオペ)という。
2. 買いオペ――>国債を買い代金を支払う――>貨幣量増加――>金利低下――>投資増加-->景気回復というルートで金融政策は効果を発揮する。



金融政策とは中央銀行(日本では日銀)が、世の中への貨幣供給量を調整することによって経済に影響を与えることをいいます。ここでは、不況期の金融政策のお話しをしましょう。

すでにお話ししたように、金利は貨幣のレンタル価格で、貨幣の需要と供給により決まります。貨幣の供給量が増えれば、貨幣のレンタル価格である金利は下落します。

では、日銀がどのように貨幣供給量を調整しているかを説明しましょう。たとえば、日銀が貨幣供給量を増加させたいとき、通常の公開された市場で国債などを買えば、その代金として現金を日銀の金庫から売り手に払うので、世の中への貨幣の供給量が増えます。このように、日銀が国債などを買うことにより貨幣供給量をふやすことを「買いオペレーション(略して「買いオペ」)」といいます。

逆に、日銀が貨幣供給量を減少させたいとき、通常の公開された市場で国債などを売れば、その代金として現金を買い手からもらい日銀の金庫に入れるので,世の中からの現金の回収となり、貨幣の供給量は減ります。このように、日銀が国債などを売ることにより貨幣供給量を減らすことを「売りオペレーション(略して「売りオペ」)」といいます。

以上の「売りオペ」「買いオペ」をまとめて、公開市場操作(オープン・マーケット・オペレーション)といいます。現在、日銀が貨幣供給量を調整する手段として中心にしている方法です。

では、日銀が景気対策として「買いオペ」を行い、貨幣供給量を増加させたとしましょう。すると、前回お話ししたように、供給が増えれば、価格である金利は下落します。金利が下がると,資金が借りやすくなるので、住宅投資や設備投資が増加し、経済全体の投資は増加します。その結果、注文が増えるので,それに合わせて生産も増えます。経済全体では、国民総生産とか国内総生産と呼ばれるものが増加します。生産量が増加すれば、企業は労働者をたくさん雇うようになり失業は減少し、企業収益も改善して、社員の給料も上昇していくことでしょう。

★キーワード★

金融政策
中央銀行(日本では日銀)が、世の中への貨幣供給量を調整することによって経済に影響を与えること。

買いオペレーション(買いオペ)
日銀が国債などを買うことにより貨幣供給量をふやすこと。日銀が市場で国債などを買えば、その代金として現金を日銀の金庫から売り手に払うので、世の中への貨幣の供給量が増えることになります。

売りオペレーション(売りオペ)
日銀が国債などを売ることにより貨幣供給量を減らすこと。日銀が市場で国債などを売れば、その代金として現金を買い手からもらい日銀の金庫に入れるので,世の中からの現金の回収となり、貨幣の供給量は減ることになります。

公開市場操作(オープン・マーケット・オペレーション)

日銀が市場において国債などを売買することにより貨幣供給量を調整する方法。「売りオペ」と「買いオペ」があり、現在、日銀が貨幣供給量を調整する手段として中心にしている方法です。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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