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見えない行政機関?公益法人とは(2ページ目)

小泉内閣の発足以来話題の「特殊法人」ですが、これよりもっと数が多く、かかえる問題も根深いといわれるのが「公益法人」です。行政改革についてもこれを知らなきゃ語れません。

執筆者:辻 雅之

【公益法人と行政・官僚との「?」な結びつき】

公益法人は前のページでも説明した通り、基本的にはだれでも作れる団体。民間団体か公的団体かといわれれば、システム的には民間団体と答えるしかありません。

しかし、実際には行政と深く結びついた公益法人が多く存在します。国の省庁に行政委託を指定などされている法人だけで600以上。特殊法人や都道府県の事業を委託されたりしているものを加えると相当な数になるようです。

行政と結びついた公益法人は、ほかの公益法人や民間企業とは違い、大きな「特権」を持つことになります。

たとえば法令で指定されて特定の事業を独占したり、国家資格の試験の実施を独占する。このような公益法人はたとえ非効率な経営をつづけていたとしても、事業を何の苦労もなく続けていくことができるわけです。

しかしこのことによって民間企業は事業に参入できず、独占された事業は非効率なまま放置され、国民は高い利用料や受験料、さらには税金による補助金などを負担することになってしまいます。

 

そして、これらの法人に官僚ら公務員がおおぜい天下って報酬を得ています。かれらが与えた特権によって存続する公益法人に、みずからが天下ってお金をもらうわけですから、どうも怪しい話です。

ちなみに国会議員も、その半数以上がこうした公益法人の理事に名を連ねています。予算(補助金)や法律(事業指定)などに大きな影響力を持つ国会議員の多くが公益法人とつながっていることにも、問題がありそうです。

そういえば国会議員の逮捕にまで発展したKSD事件のKSDも、「中小企業福祉事業団」という公益法人でした。多くの天下りを受け入れていたこの法人の理事長は、公益法人を私物化してその資金で政界工作を行っていたとされています。

このような問題点をただすため、政府も行政改革の一貫として公益法人の改革に取り組みはじめています。

ただ、特殊法人とは違いしくみ的には民間団体であり、しかも非常にたくさんの数存在する公益法人の現状を把握するだけでも大変なようで、特殊法人改革ほど進展していないようです。

そんな感じの公益法人問題ですが、今後、公益法人改革をどのようにすすめていったらいいのか、次のページで考えていきましょう。
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