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見えない行政機関?公益法人とは(3ページ目)

小泉内閣の発足以来話題の「特殊法人」ですが、これよりもっと数が多く、かかえる問題も根深いといわれるのが「公益法人」です。行政改革についてもこれを知らなきゃ語れません。

執筆者:辻 雅之

【公益法人の改革も特殊法人と同じくらい大切】

まずなんといっても必要なのは公益法人の情報公開をしっかりやることです。そのうえで官庁による公益法人の監視をしっかり行い、不必要なものや「公益」のために活動しているとはいえないような法人を整理していくことが大事でしょう。

特に職員数より理事などの数が多く、補助金を受けているにもかかわらず理事などへの報酬が必要以上に厚い法人についてはしっかりチェックし、指導していくことが必要でしょう。

また、公益法人の「うまみ」である税制の優遇措置も見直し、公益法人が税金対策として使われないようにすることも必要でしょう。

公益法人への官僚の天下りを規制することも必要かもしれません。天下っても必要以上に高い報酬をうけることを禁止したりするようなルール作りが必要でしょう。

ただ、「特殊法人問題をやさしく説明!」でも述べた通り、官僚の天下りを減らすには公務員制度そのものを改革し、優秀な人材を定年後も官庁が活用できる制度を作ることなども考えていく必要があると思われます。

特殊法人と公益法人との関係もまた見直しが必要です。特殊法人が運営する施設の清掃(競馬場の清掃など)や、施設での売店営業(高速道路サービスエリアなど)などに公益法人があたることが多くなっています。

このような公益法人は特殊法人からの補助金で運営されているのでやはり非効率経営になりがち。しかも特殊法人からの天下り(「天々下り」?)が多く、ここであがった利益(しかも税制上優遇)が特殊法人の赤字をうめることなくかれら天下り理事への報酬として使われてしまうようです。

このような公益法人の事業は民間企業でも行っているものであり、今後は公正なシステムで選ばれた民間企業に委託して効率化をすすめ、特殊法人の建て直しにつとめてほしいものです。

最後に、公益法人とNPO(非営利団体)法人との関係についても考えてみましょう。NPO法人とは1998年に制定されたNPO法によってあらたに認められるようになった法人で、非営利であれば簡単に法人化が認められる(そのかわり税制上の優遇はなし)ようになっています。

このような制度ができたのですから、公務員の互助会的な法人など「公益」のためとはいえないような活動を行っている法人はNPO化してしまうことが必要でしょう。

また、行政機関も公益法人ばかりに業務委託するのではなく、ボランティア精神あふれるNPOの利用も検討すべきでしょう(もっとも某国会議員さんのように官僚や政治家と結びついていない組織が行政に協力するのをよく思わない人も少なくないようなのでむずかしいかもしれませんが)。そうしたNPOに対する税制上の優遇措置もあるといいように思います。

問題山積みで、なかなか説明しきれない公益法人。小泉内閣がどこまで手をつけることができるか注目したいところです。もちろん私たちももっとこの問題について理解し、考えていかなければならないでしょう。

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