経済学★超★入門「早わかりケインズ」シリーズ
第1弾 国内総生産(GDP)ってなに?(今回)
第2弾 景気と国内総生産(GDP)の関係
第3弾 昔の経済学の主流-古典派の理論
第4弾 いよいよ世界大恐慌を説明した「ケインズ」
★ポイント★
1. GDP(国内総生産)は、国内での生産量を表し、日本のGDPは約500兆円。
2. GDPには、国内で生産したものの金額を単純に合計した名目GDPと、物価水準の変化を取り除いた実質GDPがある。
3.重要視されているのは、実質GDPの方である。
国内総生産は英語のGross Domestic Productを略してGDPと呼んでいます。かつては、よく国民総生産(GNP)という言葉が利用されていましたが、現在では、国の経済規模を表す指標としては、GNPは用いられず、GDPが用いられます。また、現在では、GNPはGNI(国民総所得)と変更されています。
さて、国内総生産(GDP)は、簡単に言えば、1年間に日本国内で生産した量の合計です。しかし、一概に「生産量」といっても、日本国内で作っている色々なものは単位が違うので、量のままでは合計できません。したがって、いったん金額に直して、何円分を生産したかを合計していきます。このように生産した金額の合計である日本のGDPは約500兆円です。これは、日本国内で、1年間に500兆円分の財やサービスを生産していることになります。
このGDPには、国内で生産したものの金額を単純に合計した名目GDPと、物価水準の変化を取り除いた実質GDPがあります。
名目GDPとは、新たに生産した金額を足し合わせれば求まるのですが、これには、問題があります。なぜなら、GDPは一国の生産量を知りたいのですが、名目GDPのままだと、物価が変動すると、正確に生産量を表さなくなるからです。たとえば、一国内での生産量は変わらないのに、すべてのモノの価格が2倍になり、物価が2倍になったとしましょう。すると、生産量は変わっていないのに、生産をした金額は、モノの価格がすべて2倍になっているので、やはり2倍となり、名目GDPは2倍となってしまいます。
そこで、そのような物価変動の影響を取り除いて一国内の生産量を表す指標が実質GDPです。先の例では、物価が2倍になっているのだから,名目GDPが2倍になっても、それは、生産量の増加ではなく、物価上昇によるものだとわかります。つまり、この場合、生産量=実質GDPは以前と変わらないということになります。「実質GDP=名目GDP/物価」という関係になります。なお、GDPの計算の際の物価指数をGDPデフレータといいます。
通常,GDP統計が発表され、何%プラス成長とか議論されるのは、実質GDPです。なぜならば、本当の生産量を表しているのは、実質GDPだからです。では、どうして、生産量が重要なのかについては、次回、
第2弾 景気と国内総生産(GDP)の関係 にてお話をしたいと思います。
★ キーワード★
GDP(国内総生産)
1年間に日本国内で新たに生産した量の合計です。しかし、一概に「生産量」といっても、日本国内で作っている色々なものは単位が違うので、量のままでは合計できません。したがって、いったん金額に直して、何円分を生産したかを合計していきます。このように生産した金額の合計である日本のGDPは約500兆円です。
名目GDP
1年間に日本国内で新たに生産した金額を単純に足し合わせたもの。
実質GDP
物価変動の影響を取り除いて一国内の生産量を表す指標。
GDPデフレータ
GDPの計算の際の物価指数。
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