典型的なアジア型独裁者
スハルト大統領。 |
陸軍の将校だったスハルト氏は1965年、「9.30事件」のなかで軍を掌握し、権力の座を建国の父スカルノから奪取(ちなみにスカルノの夫人だったのがデヴィ夫人ですね)。68年に正式に大統領になり、長年にわたってインドネシアを統治しました。
クーデター的に権力を奪取して独裁体制を築いた点は韓国の1960~70年代の大統領・朴正煕(パク・チョンヒ)と同じ。また軍を使い強権的に独裁政権を維持したところはフィリピンのマルコス政権と同じところがあります。
まさにアジア的な独裁者の1人だったわけです。
今も論議されるスハルト政権の功罪
しかし、1997年に発生したアジア通貨危機によって彼の長期政権は揺らぎ、98年にあっけなく崩壊したのでした。その後彼の独裁や汚職などが非難されましたが、結局彼は罪を科せられることなく死んだのですね。確かにスハルトは軍を使った強権的な政治を行い、多くの人々が犠牲になったともいわれています。また不正蓄財などの汚職によりインドネシアの近代化・民主化を遅らせたともいわれます。
しかし、彼の「開発独裁」政治によってインドネシアは民主化こそ先送りされたものの、経済的には発展の基礎が築かれた、という人もいます。功罪なかばする評価のなか、彼は人生の幕を下ろしたのでした。
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