■適切な時期に最適なメンテナンスを
定期的な点検を行っても、それによって適切な補修や部品の交換をしなければ、点検の意味がありません。例として挙げた住宅会社では、15年目と30年目に、いろいろな部位の補修や交換のプログラムをつくっています。
たとえば、15年では、外壁の吹き付け塗装を行い、外壁のシーリングや勾配屋根の補修、サッシや玄関ドア枠の補修、樋や鉄骨外階段の補修を行うことを前提としています。さらに、30年目では、屋根やベランダの防水シート、勾配屋根の交換、外壁の吹き付けとシーリングの交換、サッシ枠の樹脂分の交換、玄関ドアや勝手口のドア枠の交換、窓シャッター、庇金物など外部金物、樋、外部階段の交換、面格子などアルミ金物の補修、給水・給湯管、ユニットバスの交換などを行うようにプログラムを組み立てています。
15年目に手を入れるべき部分は、建物外部が中心の補修なので、すべて同時に行えば足場を組むのも、一度ですむので効率的です。30年目も、外部の補修や交換は同時期に行うのがよさそうです。このように、手遅れにならないように早めに計画して、なおかつ、効率的、計画的に補修や交換を行うことが住まいの寿命をのばすことにつながります。
■住宅会社によって異なるサービス内容
ところで、こうした定期点検の時期や回数、点検内容は、住宅会社によって異なるのをご存知でしょうか。ある木造住宅を扱う会社では、3カ月、1年、2年、5年、10年、15年、20年目の合計7回の無料点検を行い、30年、40年、50年、60年に有料の点検を行うシステムを用意しています。
また、すべての家が同様の耐久性を確保していないのと同じように、住宅会社によって、メンテナンスの考え方もさまざまで、想定している補修や交換の内容もいろいろです。現在は、住宅品質確保促進法(品確法)という法律で、住宅の基礎などの構造と、雨漏りなどについては、10年間の瑕疵補償がついていますが、定期点検などのアフターメンテナンスについての細かい規定はありません。
ということは、長期的に住まいを維持していく仕組みをもっているかどうかということが、住宅会社を検討するときのひとつの基準となりそうです。自分の家だからこそ、長期的に見て、メンテナンス計画を立てましょう。また、住宅メーカーごとにさまざまなサービスがあるので、それを利用する手もあるでしょう。
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