■家を建てる工法はいろいろある
完成した家の外観を見たとき、デザインや使っている素材の違いはわかっても、どんな工法で建てられているのか、判断するのは意外に難しいものです。今の住宅は、見た目だけでは工法の違いはわかりにくく、どれも同じ工法の家に見えてしまうかもしれません。しかし、この工法の違いによって、長持ちする家と、寿命の短い家があるとしたら、どうでしょうか。ここでは、住宅を建てるときの工法をそれぞれ説明していくのと同時に、住宅の性能についても見ていきます。
工法とは、家の建て方のことで、各工法によって、家の基本的構造の材料や、仕組みが異なってくるわけです。また、構造の仕組みが違うことで、工期、耐震・耐久性、工事費、設計するときの自由度などが変わってきます。それぞれの工法に持ち味があるので、耐久性の高い、長持ちする家を建てためにも各工法の特性を理解して、選ぶことが大切です。ここでは、一戸建てを建てるときに、代表的な工法について説明していきましょう。
■木造軸組工法
木造軸組は、柱という縦の「軸」、梁という横の「軸」、筋交いなど斜めの「軸」で、建物を支えている工法です。基礎の上に土台をのせ、アンカーボルトで止めます。その土台に柱を立て、梁など水平材をわたします。建物のコーナーなど特に重要な部分には1、2階を1本で貫く通し柱が用いられます。また、柱と柱の間に斜めにわたすのが筋交いで、この部材が地震など建物に水平にかかる力に効力を発揮します。そのほかの斜め材としては、梁などの水平材を固定する部材として火打ち梁があります。逆説的にいえば、耐震性を高めるは、この斜め材が重要です。
木造軸組では、木材と木材をしっかり結合させることが重要で、木材の先端はホゾとミゾという突起と穴をつくり、これをかみ合わせるようにしています。現在では、この結合部の合理化や精度を高めるため、コンピュータを使ってホゾやミゾを工場でプレカットしたり、金物を併用してより強固に接合するようにしています。最近では、柱や梁に集成材を利用したり、2×4のようにパネルを併用したものなどが登場してきました。
耐火性については、屋根や軒裏、外壁などに不燃材を使い、類焼を防ぐなどの防火策をとっているものと、とっていないものとでは、大きな差があります。防火策をとっていない木製の外壁のものは、火災になったときの被害が大きくなると判断され、火災保険料も高く設定されています。
■2×4(ツーバイフォー)工法
2×4の場合は、構造躯体が床、壁、天井の「面」で構成されているのが特徴です。この点が柱や梁など「軸」で支える木造軸組とは大きく異なるところで、正式には「枠組壁工法」と呼ばれます。
家ができていくまでの工程を簡単に説明すると、基礎の上に並べられた根太に構造用合板を釘で打ち付けて床をつくり、そこに1階の壁を立ち上げていきます。同様に、2階の床を張り、2階の壁を立ち上げていきます。そして、棟木に垂木を渡して屋根を完成させます。この建物を支える重要な壁は、2インチ×4インチの製材でつくった枠に構造用合板を張ってパネルにしたものです。
耐火性能の面では、壁や天井に不燃材である石こうボードを張ってあるため、公庫の融資区分では準耐火の扱いになることが多いようです。