住宅工法/耐震住宅・住宅工法

「丈夫な家」を建てるには工法の特徴を知ろう 工法によって耐久性は違う(2ページ目)

住宅を建てるときの工法によって構造の仕組みが異なるだけでなく、耐久性や耐震性などが違ってきます。各工法の特徴をよく理解して、最適な選択をしたいものです。

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

長く暮らせる家づくりガイド



■プレハブ

プレハブとは、prefabricated houseの略で、前もって工場で屋根や床、壁、天井など部材をつくっておいてそれを現場で組み立てるという住宅のこと。もう少し正確にいうと、建築基準法に基づいて性能認定を受けた工業化住宅のことで、プレハブ住宅を扱うメーカーは、各社独自の「認定」を受けた方法(工法)での家づくりを行っています。よって、プレハブ住宅といっても会社が違えば、工法も異なり、いろいろな仕組みがあります。しかし、大別すると、鉄骨系、木質系、コンクリート系、ユニット系の4つに分類されます。

鉄骨系は、主に軽量鉄骨の骨組みとしているもので、鉄骨の柱や梁、筋交いに当たるブレースで構成する軸組工法を採用しているところ、外壁・床・屋根などに各種のパネルを取り付けて住宅を構成しているところ、軸組とパネルを組み合わせたものなどがあります。しかし、先にも説明したように、住宅メーカーオリジナルの方法で「認定」を受けているため、細部では各社の工法ごとに異なる部分があります。鉄骨の一番の大敵である錆については、60年以上の耐久性を確保するため、高い防錆力を発揮する亜鉛メッキを施しているところもあるようです。また、素材の特性として、木よりも鉄のほうが強い力に対抗できるといえるでしょう。

木質系は、木質素材のパネルで、床や壁、天井を構成するもの。面で支えるという点では、2×4と同様の構造で、壁式工法の一種になります。

コンクリート系も、面で支える壁式工法のひとつで、コンクリートのパネルを用います。このパネルは工場であらかじめつくられたものです。コンクリートは、耐火・耐久性の高さで、法定耐用年数は60年となっています。

ユニット系は、プレハブの中でもっとも工場生産化率が高く、鉄骨または木質の柱や梁でつくられた箱形のユニットを現場へ運び、組み立てるというものです。このユニットには、壁や床の下地材のほか、窓などの建具、設備機器などをすでに取り付けた状態で現場へ運びます。このため、工期がほかの工法より短いのが特徴です。

■各工法の耐久性や耐火性

ここまで、住宅を建てるときの工法をひと通り見てきました。木造軸組や2×4のように、建築基準法など一定の基準を満たしていればだれもが建てられるオープン化された工法と、プレハブのようにひとつひとつ「認定」を受けたものがあることはわかっていただけたでしょうか。プレハブの場合は、「認定」を受ける過程で、構造の安定性のほかに、耐震性、耐火性、耐久性など、性能面でのチェックも受けています。こういった審査をパスしているということは、客観的な目で評価を受けているということ。その点でも安心感があるわけです。

地震への対策としては、まず、地盤を調べ、それに適した処置をすること。さらに、防蟻対策も重要です。白アリの被害に合う可能性の高い木造軸組など、木質系の住宅は十分な配慮が必要になります。

そして、建物に加わった力に対抗するのは筋交いまたはブレースなので、これらの斜めの部材がバランスよく配置されていることが大切です。プレハブの鉄骨系の住宅メーカーでは、このブレースに改良を加え、より大きな力に対抗できるようにしているところもあります。

また、木造軸組、2×4、プレハブ(コンクリートを除く)のどの工法でも、外壁に耐火性能をもつ部材を使用したり、開口部で延焼のおそれのある部分に防火戸を採用するなど、一定の条件を満たせば(不燃材や準不燃材を使えば)、かなりの耐火性能を期待できます。公庫の構造区分では、準耐火構造と呼ばれる区分です。コンクリート住宅は耐火構造扱いになります。

家を建ててからでは、補修や交換することができないのが、基礎のほか、柱や梁、外壁などの基本構造です。新築時の工事費が安かったとしても、耐久性に優れていなければ、大掛かりな補修や建て替えが必要になるかもしれません。よって、家を検討するときは、工法の特徴のほかに、基本構造の耐久性なども確認したうえで、長期間にわたって安心して暮らせる住宅を選びたいものです。
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