◆築5年で流行遅れの古くさい家でいい?◆
住宅デザインといっても外観や、室内など、いろいろありますが、ここではわかりやすいので、外観デザインを中心に話を進めていきます。
住宅街を歩いてみると、傷みが見られるから相当古い家だなとか、まだきれいだから新築したてだろうなどというだけでなく、外観に使われている色や素材、デザインなどによって、その住宅が建築された時期がある程度はわかりそうな気がします。住宅雑誌をめくってみると、1990年代までは窓のサッシは白が多かったのですが、2000年以降は黒のサッシや落ち着いた色の外壁が増え、その後、ブラウンやグレーなど、サッシのカラーバリエーションが増えるにつれ、外壁の色合いも淡い色が目立ってきます。それとともに、外壁の素材も新しい家ほど、凹凸のあるサイディングが多く見られます。古い家は切妻や寄棟のような比較的単純な形が多く見られますが、築年数の浅い家は、複雑な屋根形状だったり、バルコニーや外壁に装飾が施され、さまざまな形の住宅が見られます。
このように、住宅にもなんとなく建てられた当時の流行がそれなりにあるようです。この住宅のデザインの流行が短期間に移り変わっていくとしたら、築5年で流行遅れの古くさい家になってしまう可能性も。20年、30年と暮らしていく家なのにそれでいいのでしょうか。
◆好きなデザインにするのが一番?◆
では、長く住むことを前提に考えると、住宅においてよいデザインとは何でしょうか。
ちょっと、乱暴ないい方ですが、一番いいのは住んでいる人が好きなデザインにすることだと思います。嫌いなデザインの家だったら、愛着がもてないでしょうから、長く住むことは難しいと思うのです。だから、「こうしたいっ!」という希望がある人は、そうするのも一案。
でも、それが流行のデザインだったら、数年後、後悔する? また、あまり奇抜な色だったり、街並みにそぐわないデザインだったら、将来どうなるか? 例えば、もし、将来、家を人に貸したり、売却したくなったとき、あまりに個人的な好みのデザインだと、他人からの評価は期待できないかもしれません。
つまり、家は今だけのことを考えて建てるのではなく、長い時間が経っても愛することができ、他人からも評価されるものにしていくことが大切なのです。特に強い希望があり、これなら長く愛せるというのならそれにそった外観にするのもよいでしょう。「こうでなきゃイヤ」という人はともかく、こうしたいというイメージに幅のある人は、いつまでも愛せる色や形ということを念頭に置きながら、外観を決めていくとよいですね。
でも、そんなデザインって? 次ページでは、長く愛せる住宅の条件とデザインについて説明していきましょう。
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