築年数にもよりますが、既存の木造住宅の8割以上は「耐震性に問題あり」という、かなり衝撃的な「日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)」(以下、木耐協という)の診断結果を前回の記事8割の家が地震で倒壊の危険?!でご紹介しました。
今回は、耐震診断の様子と、悪質な業者にだまされないコツ、耐震補強工事の実態について説明していきましょう。
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耐震診断って、どこをどんなふうに見るの?
木耐協では以下のポイントを中心に耐震診断を行うのだそうです。
・地盤の状態
・基礎の状態
・床の傾き具合
・壁の筋交いの有無
・浴室の状態
・屋根裏を点検
・床下に入って、基礎の状態、シロアリの被害の有無を確認
基礎については、「コンクリートテストハンマー」と呼ばれる特殊な機器を使って、基礎コンクリートの強度をはかります。機器に内蔵された金属の小さなボールを当てて、その戻り具合で判断するのだそうです。
| 基礎を調べる道具類。上は鉄筋入りの基礎か、無筋基礎か検査する機器。
下のシルバーの機具が「コンクリートテストハンマー」
昭和45年(1971年)に建築基準法が改正され、底盤のある布基礎にすることが規定されました。逆に言えば、それ以前に建てられた古い住宅の基礎は、布基礎でない可能性が高いですし、鉄筋も入っていない場合が多いでしょう。
また、古い住宅の場合は、基礎のコンクリートの状態も心配です。当初アルカリ性だったコンクリートは経年変化によって中性化が進んでいることが考えられ、中性化が進むと耐久性に影響し、大きな地震に対抗力も低下します。(改良された最近の基礎のコンクリートの場合は、中性化しにくいものもあるようです)
耐震診断では、基礎のひび割れについてもチェックしますので、自分の家の基礎がどんな状態か知ることができ、耐震性についても状況を把握することできます。
筋交いについては、壁をたたいて筋交いの有無を確認します。これにより、家全体の耐力壁の配置や壁量がわかり、耐震性を判断する重要な要素となります。
さらに、「下げ振り」という水準器を使って床の傾きなどを調べたり、浴室など水まわりを中心に土台の状態や、シロアリの被害の有無を確認するそうです。開閉のしにくい建具などがある場合は、床などが傾いている可能性があります。また、シロアリの被害にあっている場合は、耐震性に著しい低下が考えられるので、対策が必要になります。
耐震診断の前には、住宅のカルテを用意して
こういったの検査を受ける前に、できるだけ住宅の図面(平面図や立面図などのほか、住宅の詳細がわかるもの)を用意しておきましょう。自分の家の屋根裏を見たり、床下に潜った経験のある人は少ないでしょうし、点検口の位置さえ、よくわからないという人もいるでしょう。そんな状況で、専門家が頼りにするのは図面です。ないとソンする? わが家の記録でも説明しましたが、家を買ったり、建てたときに手渡された家のカルテともいうべき書類は、大切にとっておき、いざというときにすぐに取り出せるようにしておくと、こういった場合にも役立ちます。
では次ページで、耐震診断を受けた人がどんな耐震工事をしたのか、みていきましょう。