「100年住める家」を目指して
取材させていただいたNさんのお住まいは築20年(2005年取材当時)。阪神・淡路大震災で最も被害が大きかったといわれる兵庫県西宮市にあります。ご両親が住んでいた家を二世帯住宅に建て替えたものです。
建て替えるにあたって、Nさんがこだわったのは「100年住める」ということ。自分たちだけでなく、子どもや孫、その先の世代まで住み継げる家を建てることを目指しました。世代ごとに建て替えていたのでは、子どもたちがいつまでたっても豊かになれないと考えたからです。子どもや孫、さらにその先の世代まで、住宅にかかる費用が減らせれば、その分、豊かに暮らせると考えたわけです。
Nさんご夫妻は本や雑誌を見たり、展示場をまわったり、ハウスメーカーのバス見学会に参加したりと、積極的にこれから建てる家についての研究を重ねました。そして、たどりついたのは「長く暮らせる家には骨格と基礎が重要」という考えでした。
築20年のNさんの家。1階にご両親、2階にNさんご夫妻が暮らす二世帯住宅です。家の前には小川が流れています |
骨格・地盤・基礎がポイント
Nさんが骨格と基礎が重要だと考えたのは、「長く暮らせる家」について、具体的なイメージを持っていたからです。
第一は、広い部屋をとれる家であること。
子どもの独立など家族構成の変化には、室内を細かく区切るのではなく、広々した部屋を家具などで仕切るようにしたほうが対応しやすいと考えました。そして、自分に孫ができたときにも、広々とした部屋で遊ばせたいと思ったそうです。
第ニは、メンテナンス費用がかからないこと。
これは、住宅にかける費用は将来的にも最小にしたかったからです。
こういった要件を満たせれば、次世代へ住み継げると考えたそうです。
検討の結果、Nさんご夫妻は頑丈な鉄骨の骨格をもつへーベルハウスを選択しました。広い部屋がつくれるだけでなく、将来の間取り変更にも柔軟に対応するのが理由です。加えて、建てる前の地盤調査をしっかりしていたことも決め手となりました。実際、Nさんの家の場合も敷地調査をしてみたら、敷地の南東の端が軟弱地盤だったことが判明。固い地盤層までパイルを打って対応したそうです。
こうして完成した家は快適でした。冷暖房効率がよく、光熱費も思ったよりかかりません。夏は涼しい風が入り、冬は朝から夕方まで日が入る、快適に暮らせる家ができ上がったのです。
その後、10年近く快適に暮らした1995年1月17日、Nさんの家を阪神・淡路大震災が襲います。
そのときの体験の詳細については、次ページで紹介しましょう。