どのように「重心」と「剛心」を近づけるか
さて、前のページの平面図をもう一度見てください。●が重心で、■が剛心です。この家の場合は、建物の形が正方形に近い四角形なので、重心が建物のほぼ中央にありますが、重心と剛心が少し離れています。この2点がもっと近づけば、より地震に強い家になるわけです。
地震によって建物がねじれる可能性が高くなっていきます
では、どのように、重心と剛心が近づくように、改善していくか、具体的な方法を見ていきましょう。
壁を増やすか、今ある壁を強化する。考えられる方法はこの2つです。これで、剛心を重心に近づけることができます。
方法 その1 壁を追加して重心と剛心を近づける
開口部(窓など)を小さくして、壁の量を増やします。玄関をふさぐことはできませんので、この家の場合は、和室とLDKの窓を小さくして、壁の量を増やすことで、剛心を重心に近づける方法が考えられます。
水色の部分が新たにつくられた壁です
方法 その2 壁を補強して重心と剛心を近づける
もうひとつの方法は、現在ある壁を補強して、剛心を重心に近づける方法です。和室とLDKの壁に合板を張ったり、筋交いを入れるなどして、強い壁にします。
これによって、剛心は図面の下部のほうに移動するはずです。
水色の部分が補強された壁です。
資料提供/すべて木耐協(日本木造住宅耐震補強事業者共同組合)
どちらの方法がよいかは、和室をどのように使っているか、費用はどのくらいかなど、その人の考え方や条件などによって、選択すればよいと思います。
しかし、一番大切なのは、わが家の耐震性を知って、それに備えておくことです。木耐協による耐震調査では、耐震基準が見直された1981年以降に建築された木造住宅でも、「危険」または「やや危険」だと診断された住宅が6割以上だとか。シロアリの被害に合ったことがある、軟弱地盤に建築されている、住宅の形が複雑などの条件にあてはまる場合は、すぐにでも耐震診断を受けてみてはいかがでしょう。ただし、耐震補強を語る悪質リフォーム会社には要注意です。
また、1995年の阪神・淡路大震災では、家具などが倒れてきたことによるケガや死亡がとても多かったそうです。住宅の耐震性だけでなく、家具の転倒や、ガラスの飛散などについても、事前に対策をしておくことを忘れずに。