では、ここからは宿泊可能なモデルハウスの具体的な利用法についてお話ししましょう。
宿泊するのは気候の厳しい季節に
まず、モデルハウスに宿泊するのに適した季節は、梅雨時のようなムシムシジメジメした季節、夏、冬などです。なぜなら、冷暖房がフル稼働する季節のほうが、断熱性や気密性などの住宅性能を実感しやすいからです。春や秋などの気候のよい時期は、窓を開けて通風を確かめたり、採光の具合を確認できるので、具体的なプランニングに役立つ情報が得られるでしょう。
そして、ぜひ持参してほしいのが温度計。性能をいろいろな角度から実感できるように、できれば、2つ以上もっていくと便利です。
温度計の使い方としては、例えば、冷房や暖房している部屋の温度を計り、同時にそのときの屋外の温度を計ってみましょう。また、1階と2階の温度差、リビングと廊下の温度差を計ってみるのもいいですね。また、夜、寝る前に冷暖房を切って、翌朝室温が何度になっているかを調べてみるのもいいでしょう。そのとき、屋外温度の確認を忘れずに。
最近の住宅はおおむね高気密・高断熱になっていますが、どの程度の性能なのかは、何か判断する基準がないとわかりにくいものです。複数の住宅メーカーの宿泊可能なモデルハウスに泊まり、比較して優劣をつけるのもひとつの方法ではありますが、それよりも、現在住んでいる住宅と比べ、どのくらい住み心地が違うのかを基準に考えてみるのがよいでしょう。そのためには、自宅でも家の中の温度を調べ、屋外との温度差を確認してみる必要がありますね。
リビングではテレビをつけたり、音楽を楽しんだりして、いろいろ試してみましょう |
テレビをつけたり、音楽も聞いてみて!
また、ぜひ、試してほしいのが音。音がほかのフロアではどの程度聞こえるのか、2階に上がって確かめてみましょう。また、2階の音が階下にどのくらい響くかもチェックしてみて。ドアを開けたり、閉めたり、いつもの生活を思い出して、「ご飯できたわよぉ~」と叫んでみるとか・・・。いろいろ試してみるのがおすすめです。食器洗浄乾燥機を実際に使って、その作動音を実感してみるのもいいですね。もちろん、大きな吹抜けの有無など、プランによっても異なるので、単純に防音性の善し悪しを断言することはできませんが、家族の気配がどの程度わかるかなどは、間取りを考える上で参考になると思います。いつものようにテレビをつけたり、CDをかけたりしてみましょう。そして、好みのボリュームで音楽をかけたとき、屋外にどのくらい音がもれるのか、実際に外に出て確かめてみるとよいと思います。
また、結露の状況なども確認してみましょう。最近の住宅では、複層ガラスに断熱サッシ(室内側が樹脂で屋外がアルミなどのサッシ)を採用するのが一般的になっています。絶対に結露しないとはいいきれませんが、シングルガラスにアルミサッシという組み合わせに比べると、格段の違い。かなり結露しにくくなっているはずです。これを最も実感できるのは暖房が必要な季節、つまり冬だとは思いますが、滞在中、ときどき窓の状態をチェックしてみるとよいでしょう。
夜、フットライトがいかに心強いかも、宿泊可能なモデルハウスで体験できました |
そのほか、照明、水栓金具、給湯、床暖房など設備機器はいろいろ触って動かしてみましょう。窓やドアなどを開閉したり、手すりにつかまってみたり、さまざまな生活場面を想像して試してみましょう。こういった体験をすることによって、自分がその住宅メーカーで家を建てたときにどんな生活が送れるのかイメージできますし、実際にわが家のプランニングをするときにおおいに参考になることでしょう。
宿泊可能なモデルハウスは、戸建てにとどまらず、最近ではマンションのモデルルームにも見られます。現地のモデルルームとは別に宿泊できるモデルルームを設けているデベロッパーが登場しているようです。