長期優良住宅/長く暮らせる家

住宅を長持ちさせるポイント 基礎・構造編(2ページ目)

長持ちする家とは、どんな家なのか、そして、どんなところに注意して建てたらいいのか。長持ちさせる3つのポイントのうち、今回は、基礎・構造の面から、長持ちする住宅のポイントについて考えてみましょう。

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

長く暮らせる家づくりガイド

建物を支える構造材に注目する

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木造軸組工法では、土台と基礎はホールダウン金物という特殊な金物で緊結されます。土台のところから斜めにわたっている木材が筋交い

構造材の中で、基礎に最も近い部分に位置するのが土台です。木造軸組であれば、土台にはシロアリや湿気に強い樹種のほか、防腐処理をした木材が使われます。

柱は、建物を支える重要な役目をするので、サイズも気になるところ。特に、1階2階を貫く通し柱のサイズや樹種は、住宅メーカーを選ぶときに比較材料のひとつになるでしょう。最近では、集成材を使用するメーカーも多くなっています。集成材とは、複数の板状の材料を張り合わせた工業製品。大きな空間や吹抜けをつくる際にも使われ、柱だけでなく、梁にもよく使われます。

耐力壁をバランスよく配置する

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最終的に住宅メーカーを絞り込むときは、同じ工法の家を比べて、各社の構造や特徴を知ることが大切です

住宅を長持ちさせるうえで欠かせない耐震性は、耐力壁の施工がカギとなります。耐力壁とは、地震などの大きな力が加わったときに、その力に対抗し、建物のゆがみを防ぐ役割を持たせた壁のことで、木造軸組の場合で言えば、筋交いの入った壁などを指します。

この耐力壁は建物全体にバランスよく配置されていなければなりません。例えば、建物の北側ばかりに耐力壁が集中していれば、耐力壁の少ない南側が弱くなり、建物がゆがんだり、倒壊につながる可能性がでてきます。だからこそ、全体に「バランスよく」施工することが大切なのです。そのほか、筋交いと土台などの構造材が金物で緊結されていることも重要です。

住まいの大敵となる湿気対策も重要

施工に関連して、もうひとつ住まいの大敵なのが湿気。木造軸組、2×4や鉄骨造など工法に限らず、湿気で土台や柱などが腐食したり、錆びたりすると、建物の耐久性に大きく影響します。そのためには、建物の壁の中、つまり壁体内に湿気をためないようにする必要があります。

最近の建物は、高気密・高断熱化のため、断熱材を施工しますが、外壁材と断熱材との間に通気層を設け、透湿・防水シートを張るのが一般的です。壁体内に湿気がたまると、断熱材にカビが生えたり、構造材が腐ったりする可能性があるからです。通気層の施工方法や使用するシートなどは、住宅メーカーや工法によっても違うので、自分が検討している会社がどのような施工になっているのか、事前に確認しておくとよいでしょう。

しっかり研究して長持ちする家を選ぶ

ここまで説明してきたように、基礎や構造に限っても、家を長持ちさせるための方法やポイントがあります。では、たくさんある住宅メーカーの中なら、長持ちする家を建ててくれる1社をどのように選べばいいのでしょうか。

まず、1つめの選び方は、調べて比較する方法。好みの住宅メーカーを最終的に2~3社に絞ったら、その住宅メーカーの家がどのような施工方法、どんな仕様になっているのか、できるだけ把握すること。そのうえで、比較検討して、納得の会社を選ぶようにしましょう。

2つめの選び方は、住宅性能表示制度を利用または参考にする方法。この方法は、自分が望む住宅のレベルがある程度はっきりしている人に向いています。耐震性なら○○のレベルとか、気密・断熱性能なら○○のレベルという具合に、自分の希望や考えを持っている場合は、住宅性能表示制度を利用するか、それと同等のレベルの仕様を求めるとよいでしょう。

そのほか、住宅メーカーの中には、施工のプロセスを写真付きのメールで随時知らせてくれたり、細かい工程表を出してくれるところもあります。工事中の公開は、自社の施工体制に自信がないとできないことですから、これらのシステムを用意しているところを選ぶのもよいでしょう。

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