長く暮らせる家は、物理的にも機能的にも長持ちしないといけません。では、住宅を長持ちさせるにはどんなことを考える必要があるのでしょうか。今回は、住まいを長持ちさせる方法のうち、基礎と構造にスポットをあてて考えます。
長持ちさせるポイントは3つ
住まいを長持ちさせるには、大きく3つのポイントがあります。1つめは基礎・構造、2つめは間取り、3つめはメンテナンス。ここでは、1つめの基礎・構造について説明していきましょう。
住宅の耐久性を左右する地盤調査
家を建てるときは、地盤調査をしましょう。地盤に問題があると、大きな出費が必要になることもあります |
では、まず、基礎から説明していきましょう。
長持ちする住宅を建てるには、最初に地盤調査を行うことが何よりも大切です。なぜなら、軟弱地盤であるのを見逃して家を建てれば、頑丈な構造の家を建てても、不同沈下してしまうからです。不同沈下とは、地盤が軟らかいために、建物の重さで地盤が不ぞろいに沈んでいき、やがて建物が傾いてしまうこと。これを防ぐためには、地盤の強度を調べることが必要なのです。
調査の結果、地盤が弱ければ、地盤改良や杭打ちを行います。地盤改良や杭打ちの必要はない程度の軟弱地盤の場合は、基礎の形やサイズを変更して対応します。
地盤調査はわずか数万円でできる
今、家を建てるときには、スウェーデン式サウンディング試験という地盤調査を行うのが一般的です。建て替えの場合でも、前の家を建てたときに地盤調査をしていないのなら、地盤調査を行ったほうがいいでしょう。調査の費用は数万円(5万~8万円程度)です。
ちなみに地盤改良や地盤補強をすると、かなりお金がかかり、ときには数百万円というケースも考えられます。そうなると、家づくり全体の予算にも大きく影響します。 予算の面でも、地盤調査は重要なのです。
地盤や建物によって基礎の形やサイズを変える
基礎の上に土台がのり、柱などがたち上がります。写真はベタ基礎 |
住宅の基礎は、鉄筋コンクリート造の布基礎(ぬのぎそ)やベタ基礎が一般的。布基礎は、T字を逆さにしたような形をしており、フーチングと呼ばれる底の部分は地中に埋まっています。地盤改良をするほどではないけれど、地盤に不安がある場合は、このフーチングと呼ばれる部分を広げ、建物の荷重を分散させます。それ以上の対策が必要な場合は、ベタ基礎にします。ベタ基礎は、フーチングがさらに広がって、つながったような形。コンクリートの底の部分にも、鉄筋が通っているので、基礎全体が一体となって、建物を支えます。
また、建物自体が重いときにも、基礎のサイズを変更して対応させることがあります。例えば、コンクリート造や重量鉄骨造、3階建てなど多層階の場合は、木造の2階建てに比べて建物が重く、基礎にかかる荷重も大きくなります。こういったときは、基礎の幅(土台がのる部分)を広げます。そのほか、基礎については、床下換気口を設ける、防湿フィルムを敷くなどの湿気対策や防蟻処理が必要です。
このように、基礎の形やサイズは、必ずしもどの家も同じではなく、地盤や建物の規模・構造などに合わせて、適切な対応をとっておくことが家の耐久性に関わってくるのです。
次のページでは、構造について考えていきましょう。