基礎や構造に気を配った耐久・耐震性のある家で、暮らしの変化に対応する間取りの家を建てれば、住宅は長持ちするでしょうか? いくら性能の高い家を建てても、竣工後何もしなければ、残念ながら長持ちするとは限りません。住宅は、建てた後も定期的に点検し、適切なメンテナンスをして、はじめて長持ちするのです。今回は、建てた後のメンテナンスについて考えていきましょう。
竣工後の維持管理が住宅寿命を左右する
完成後のメンテナンスが住宅の寿命を左右します |
「普請疲れ」という言葉がありますが、家を建てるということは、たくさんのことを次々と決めなければならず、慣れないことの連続で、気苦労も多いものです。けれども、時間もエネルギーも、思い入れも注ぎ込んだ家だからこそ、完成したら、それで終わりだと考えないでください。
建てた後に、どんな維持管理をするかが、住宅の寿命を左右するからです。
住宅も定期点検により早期発見が大切
私たちは健康であっても、健康診断を受けたり、人間ドックに行ったり、必要な場合は治療を受けたりします。住宅も同じように、定期点検を行い、適切なタイミングで必要なメンテナンスをすることが大切です。
定期的に点検をしていれば、もし、不具合があっても早めに見つけることができ、大きな問題にならないうちに対応策をとることができます。私たちの身体と同じように、早期発見、早期治療が大切だということなのです。
住宅メーカーのほとんどは、建てた後に、有料や無料の定期点検のほか、有料のメンテナンスを組み合わせて行うアフターサービスの仕組みを持っています。施工会社が定期点検を行うか、グループ会社や関連会社に引き継がれて行われるかは、メーカーによって異なります。
品確法により最低でも新築住宅の構造は10年保証
現在、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)によって、住宅メーカーにはすべての新築住宅に対して、10年の瑕疵担保責任が義務づけられています。これは、引き渡しのときに不具合があった場合、10年間は無償で補修の義務を負うということです。瑕疵担保責任があるのは、基礎や柱などの構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分。住宅メーカーでは、品確法による義務以上の保証やアフターメンテナンス制度を整えています。しかし、その内容はメーカーによって違います。
例えば、構造の保証期間は、10年の会社と、品確法で定める期間の倍の20年としている会社があります。20年の保証を付けているところでも、10年目に有償の補修をした場合に限ると条件をつけている住宅メーカーが多いようです。定期点検については、点検の時期、回数のほかに、何年目の定期点検まで無料で、どこから有料になるかといったことも各社さまざまです。各社のアフターメンテナンス体制を比較するときは、無料の定期点検の回数が何回あるか、築何年まで定期点検を行ってくれるかをポイントにするとよいでしょう。
●アフターメンテナンスの比較ポイント
・無料の定期点検が何回あるか
・築何年まで、定期点検があるか
・保証期間は何年か
次のページでは、自分でできる点検や手入れを紹介していきましょう。