長期優良住宅/長く暮らせる家

窓やドアの性能向上でロングライフな住まい(2ページ目)

窓のサッシやドアの性能はメーカーや商品ごとに違うのでしょうか。現在は、JISという統一の基準により製造されているため、性能を数値などで簡単に判断できるようになっています。どんな基準なのか説明しましょう。

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

長く暮らせる家づくりガイド

断熱性については5段階の等級で性能を表示

断熱性については、前ページで説明した項目と同様にJISで性能の詳細や試験方法が定められています。

・断熱性
熱の移動をどれだけおさえられるかを表す性能です。住宅では、冬の屋外の冷たい空気の影響をできるだけ小さくし、室内の暖められた空気を維持したいわけです(夏はその反対です)。そのため、床・壁・天井に断熱材を入れて断熱しますが、開口部からの熱損失量もかなりあるので、断熱性の高い窓やドアが求められているのです。JISでは、等級H1~H5までと、5段階で表示されます。

JIS以外にも法律や特定法人の規制を受ける

防火性と防犯性については、等級といったものはなく、JIS以外の規格により、性能が定められています。特に防火性については、家を建てるときに最も関係深い建築基準法が関係してきます。

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耐風圧性S-3、気密性A-4、遮音性T-1(片側6mmガラス使用時)、H-3(一般複層ガラス使用時)等級の性能をもつアルミ樹脂複合サッシ「ファインフレーム」 写真/新日経
・防火性
建物の火災に対する安全性のレベルを表す性能で、建築基準法などをはじめとする法律によって細かく規定されています。なかでも窓やドアに関しては、「防火設備(防火戸)」の使用について規定しています。防火地域または準防火地域に建築される建築物の外壁に設置される開口部(窓やドアなど)のうち、延焼の恐れのある部分には「防火設備(防火戸)」を使用しなければなりません。「防火設備(防火戸)」には、遮炎時間20分以上の性能をもつなど、細かい規定があり、国土交通大臣が定めた構造方法を用いてつくられたものか、国土交通大臣の認定を受けることが必要になります。窓やドア以外には、シャッターなども防火設備としての規制があります。

・防犯性
警察庁、国土交通省、経済産業省の3省庁と「防犯性能の高い建物部品の開発と普及に関する官民合同会議」により製品試験が行われ、その結果は「防犯性能の高い建物部品」が財団法人 全国防犯協会連合会のホームページに発表しています。カタログなどにも該当する商品はマークとともに明記されています。ここに紹介しているものを選ばなければいけないということではなく、高い防犯性能を期待するのであれば、「防犯性能の高い建物部品」に選ばれているものがおすすめだということです。
 

耐久性についてもJISで性能と試験内容を規定

JISではドアについて、開閉試験や、強い力で閉めたときの衝撃試験、体当たりしたときのテストなどを義務づけています。ドアの場合、開閉テストでは、通常20万回の開閉に耐えることが基準になっているそうです。そのうえで、各メーカーは独自に、このJISで定められた規格を上回る社内基準を設けて、耐久試験をしています。さらに、JISの基準や各メーカーの社内基準のほかに、品確法(住宅の品質確保促進等に関する法律)によって、住宅性能表示制度の対象となります。

性能についてカタログなどで確認して選ぶ

ここまで性能の基準や規定などをみてきましたが、さまざまな基準をクリアした高水準の製品が製造されていることがわかったと思います。ただ、すべての製品が同じ性能をもっているわけではないので、最も高性能な製品を選べばいいというわけでなはく、建物の立地条件や、その地域の風雨の程度、積雪量、建物の規模や階数、ライフスタイルなどによっても、どの性能を重視して製品選びをすればよいかが違ってきます。けれども、サッシやドアを選ぶときは、意匠面や価格だけでなく、性能についてもカタログなどで確認してから選んだほうがよいということはいえるでしょう。住み心地を左右する可能性が高いサッシやドアだからこそ、性能に注目して比較検討する必要もあるのです。
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