広めのリビングにそれぞれの居場所を確保する
高齢になると、夫婦ともに家で過ごす時間が増えます。そんなとき、大切なのがそれぞれが心地よいと感じる居場所を確保することです。子育て後の夫婦が心地よく暮らせる家とは?でも、説明しましたが、子育てを終えた夫と妻は、個室があっても一緒にリビング・ダイニングで過ごす時間が多いようです。ただ、妻はダイニングテーブルで読書をしたり手芸をしたりしていますが、夫はリビングのソファでテレビをみたり、新聞を読んだりと、同じ部屋にいながらも少し離れた場所で、それぞれ別のことをして自由な時間を過ごしています。
ということは、適度な距離を保てるように、リビング・ダイニングはある程度広さがあるといいですね。子供たちが独立して家族が減ったら、持ち物を少し整理して部屋を広く使えるように家具のレイアウトを変えたり、ダイニングテーブルやソファなど、毎日使う家具を見直して居心地を高める工夫をしてみるとよいでしょう。
長く暮らした夫婦なら快適な寝室をつくろう
夫婦の寝室を同室にするか、別室にしたほうがいいかについては、離婚を回避できる!? 夫婦が仲よくなる家でも触れたように、いろいろな考え方があり、どちらのほうがいいというものではありません。最終的にどちらを選択するかは別としても、寝室はゆとりをもった広さにしておきたいものです。ある程度広さがあれば、後から間仕切りを取り付けたり、家具の配置を変えることができます。また、子供が独立したことで空いている部屋があるなら、その部屋を寝室として利用するのもよい方法でしょう。長く暮らした夫婦なら、眠りにつくまでの習慣や好みの部屋の温度などもよくわかっているはずですから、夫婦のどちらかが我慢したり、一方的に別室で眠るのではなく、二人でよく話し合うことが大切です。また、別室にするにしても、高齢になったら、それぞれの気配が何となくわかるように、隣室になるように配置したり、緩やかな間仕切りにするなどの工夫をするとよいでしょう。
二人で作業できるキッチンがおすすめ
高齢になったときにガイドがおすすめしたいのは、複数で作業できるキッチンです。高齢になったときに限らず、若いときでも親子のコミュニケーションを深める方法として子供と一緒に料理をするのもいいですね |
また、食べ盛りの子供たちに食事をつくらなければならなかった時代に比べ、家族が少なくなったり、食べる量が減ってくると、料理をする気がなくなってしまうこともあるはず。そんな気分を盛り上げるには、親しい友人を招いて、大勢で一緒にキッチンに立つなど、楽しさを演出するのもよいアイデアです。
このようにちょとした設計の工夫やアイデアで、高齢の夫婦だけの暮らしになっても、楽しく快適に生活できる住まいになるのです。そして、ユニバーサルデザインの考え方や広めのリビング・ダイニング、開放的なキッチンなどは、子育て中のファミリーであっても好都合なプランだと言えます。住まいを考えるときは、将来の変化を予測して、高齢になったときにも対応できる柔軟性や可変性を持たせた間取りや構造にしておきたいものです。