変化の可能性を調べ予測することが大切
Aさんが現在の住まいであるマンションを購入を決めるにあたって、大きな条件は2つありました。ひとつは、自分の実家に近いこと。もうひとつは都心まで30分程度で出られることでした。この2つの条件は15年以上経った今でも変わりません。つまり、購入動機となった大きな条件に変化がなく、その他の変化は受け入れられる範囲内。さらに利便性が向上しているため、好ましく思っているのだそうです。20年、30年先の将来の様子を考えて土地選びをすることが大切です |
実は、Aさんが購入を検討していた時に、この道路拡幅は決定していて、計画のことは知っていました。また、購入しようとしていたマンションの部屋は建物の一番奥にあり、道路からの騒音はそれほど気にならないだろうとも予測していたそうです。
時間で変化しない要素で選ぶ
このAさんの例でもわかるように、長く暮らせる家の立地条件として大切なのは、周辺環境の変化が受け入れられる範囲にあるかどうかということだと思います。20年、30年という時間経過の中で、周辺環境が変化しない土地は、市街化区域では皆無でしょう。自分が家を建てたいと思った土地の周囲がどのように変化するのかをよく調べ、予測することが肝心なのです。それでも、全てを調べることはできませんし、長い年月の間にはさまざまな変化が起こるものです。思ってもみない変化もあるでしょう。ずっと先まで予測して、土地を購入することは不可能です。では、なにを拠り所として、購入を決めればよいのでしょうか?
それは、自分の中で、購入に際して何が譲れない条件なのかを見極めることです。そして、その優先すべき譲れない条件が、時間が経っても変化しないものであれば、住まいの快適性も大きくかわらないでしょう。
Aさんの場合は、実家までの距離と都心までの所要時間でした。これらは、交通機関などが発達して短縮されることあっても、長くなることはないでしょう。仮にAさんの条件が「静かな場所」など、諸条件によって大きく変化する要素なら、現在、Aさんは住みにくく感じているかもしれません。
また、Aさんのマンションは、最寄り駅から徒歩10分程度の距離があるため、駅前ほど変化せず、その点も好都合だと思っているとか。駅周辺の物件を購入していたら、大きなショッピングセンターやマンションの建設によって、静かさや景観も大きく変化したかもしれないと、Aさんは言っています。駅前など利便性の高いエリアは、それだけ変化する可能性も大きいわけです。
このように、長く暮らせる家を建てる土地を選ぶ際は、変化しない条件で考えることと、変化の範囲を予測し、その中で変化の幅が少ないエリアを探ることがポイントでしょう。