ところが近年、一部の週刊誌でこのディスポーザーが所轄官庁の使用許可を得た商品だと誤解を招く表現で広告したり、訪問販売でトラブルを起こしたり、都下近郊都市のある自治体が承認したとかしないとか、一般
のユーザーはもちろんのこと、キッチンの設計や施工に携わる人にとっても、どちらが正しいのか判断しにくい状況にあるのです。
私はセミナーやユーザーとの会合の場では、この道具の便利さは認めるものの、使うにはあくまでも自家内処理が前提であるといってきています。 すなわち汚泥状の排出物を自家内に設置した合併式浄化槽で完全に処理したうえでなら、使用可能というわけです。
ドイツ市内のゴミ収集ボックス 高さ2メートルもある投入口だが、子供たちの格好の遊び場になっていた Photo1991/ HIDEWO KURODA |
ここ数年ディスポーザーと合併式の浄化装置とを組み合わせたシステムとして生ゴミ処理装置を販売しているメーカーや、集合住宅の例もいくつか見られるようになっています。
ナショナル生ゴミ処理システム ただし、合併式浄化槽も年間を通じてのメンテナンスが必要であり、当然そのコストがかかるし、使用者のモラルが一段と問われるシステムであることは間違いありません。
朝日新聞記事の中ではアメリカ商務省からの圧力で、非関税障壁に頭の痛い日本の行政が弱腰になっている点もうかがえます。 このアメリカ商務省商務官のインタビュー和訳記事を下記をクリックすると見ることができます。
アメリカ商務省インタビュー記事
この中でも商務官ははっきりと、建設省と長年にわたって折衝してきたが許認可権を持たないことを理由にこの問題から逃げられたため、これからは地方自治体を相手に圧力をかけていくと明言しているのです。
ほかにも、HP上では千葉昇氏(杉並区議会議長)のディスポーザー解禁論や、今まで使用禁止をしてきたニューヨーク市でディスポーザーの使用が解禁された記事などもサイト上にはあります。
一方でミシガン湖の汚染の原因はディスポーザーにあるという、ずいぶん昔の記事も私の頭から離れないことです。
ニューヨーク市解禁の根拠は、下水道施設にとって年率1%(ニューヨークでは年間3万台に相当するそうです)の普及率でディスポーザーが普及してもあまり影響はない。ただし爆発的に普及するようになれば解禁を凍結するとも書かれています。
単純に、年率1%の普及率という日本では考えられないような普及率と台数の根拠や下水道施設への負荷だけの話ではなく、まだまだ改善されるべき問題の多い日本人の生活環境とその将来にとって、
<収集・焼却・埋立て>のシステムが良いのか、 <粉砕・排水・浄化・放流・浄化槽のメンテナンス>のシステムが良いのか、 <コンポスト化>などのように他の有効策やシステムはないのかを、消費者・行政・建築家・デザイナー・業者など全ての立場の違う人たちが、冷静に討議できる場としていきましょう。