キッチン/キッチン選びの基礎知識

加熱機器を扉で隠ぺいすることは消防法違反です キッチンは扉で隠さないで!

キッチンのオープン化が進むにつれ、使わない時はキッチンを隠しておきたいというニーズが高まってきます。ちょっと待って下さい!これは消防法違反です。

執筆者:黒田 秀雄

 
キッチンを扉で隠蔽することは消防法違反です!!
 

ウオールインキッチンとでも呼べばいいでしょうか?キッチンを使わない時は扉で隠したい!というお問い合わせを時々いただきますが、消防法の火災予防条例3条3の2の規定で、厨房設備や洗濯乾燥機などの加熱機器を、上図のように天井裏や扉の中に隠ぺいすることは禁止されています。

扉の材質がなんであれ、加熱機器がガスコンロであっても電気ヒーターやIHクッキングヒーターでも、一切隠ぺいすることはできません。
今年のユーロクッチーナ展では、このように扉の中にキッチンを隠してしまう提案があったり、インターネット上でも、このような平面図のリフォームプランや集合住宅プランを見かけることがありますが、原則として違法となります。もちろん戸建住宅でも同様です。


あるデベロッパーのプランではIHクッキングヒーターをワゴンの中に組込み、扉を開けてワゴンを引出さないと調理機器として作動しないという安全装置を組込んだアイデアのキッチンがありますが、消防本庁の見解は「IHクッキングヒータープラスアルファーの安全確保」ということから、特例許可した事例があります。
ただしこれは特例であって決して好ましいことではなく、またこのような新しいアイデアで設計をすすめる場合は必ず所轄消防署の確認許可を受けてからにして下さい。

上図のように、キッチンから75センチ以上離隔した位置に扉をつけ、中に人が入って作業できるようにした場合は、独立キッチンのプランとなるので大丈夫です。もちろん内装制限のルールにのっとる必要があります。

キッチンの加熱調理機器だけでなく、一体型やドラム式の洗濯乾燥機や、電気やガスの衣類乾燥機も、もちろん扉の中に隠ぺいすることは禁止されています。洗面所のプランに洗濯機置き場と称して洗濯機の上に衣類乾燥機用の棚がある例が多いのですが、ここを扉で隠すこともできません。ちょっとフに落ちないことですが、洗濯機・乾燥機置き場を扉で隠蔽している現場がありますが、消防検査の段階では衣類乾燥機がセットされていないため検査が通ってしまうのです。勿論ビルトイン方式のドラム式洗濯乾燥機を扉の中に隠蔽することも消防法違反となります。


キッチンのオープン化という時代の流れと、オープン化した時ふだんはキッチンを隠してしまいたいという要望が高まることは必然的な要求と思いますが、くれぐれも安全なキッチンづくりが第一であることを再認識していただきたいと思います。消防法を遵守したキッチンづくりを心がけましょう。

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