キッチンづくりのお役立ち情報
理想のアイランドキッチンをつくる


England Cornwall地方の豪邸のキッチン:1870

ここ数年、インテリア雑誌や住宅雑誌を賑わすキッチンを見ると、アイランド(島型)やペニンシュラー(半島型)と呼ばれるキッチンが大流行です。
その背景にあるのは家族のコミュニケーションを深めるために、家族が囲んでキッチン作業を行うというものです。確かにキッチンをアイランドにすることは、新しい時代の家族像を構築するのに欠かせないキッチンプランのひとつです。

しかし充分なキッチンプランニングと使用機器の選択やしっかりとした設備計画がないと、作ったあとでこんなはずじゃなかったと後悔されることもあります。今回のガイド記事では、アイランドキッチンの歴史を簡単に振り返った上で、理想のアイランドキッチンづくりのためのガイダンスを行ないます。

◆アイランドキッチンの歴史は古く、上の写真の150年以上も昔のキッチンではPreparationTableと呼ぶ準備作業台がアイランドとして設けられたり、ストーブレンジをアイランドに配置するキッチンなどを散見できます。
写真のアイランドは食卓テーブルよりも低い60センチ程度の高さしかないのが驚きです。5メートル以上もある天井高のキッチンの周囲の壁にはカップボードやシンクユニットが並んでいます。手前には薪ストーブのフランスレンジ(下がオーブンで厚い鉄板のクックトップで構成されるもので,煮込み料理に適しています。今でも業務用としてフレンチレストランなどで使われることがあります)




◆時代は下って、今から35年前の1973年に筆者が創作したアイランドキッチンユニットです。カウンターは当時生まれたばかりの人造大理石。シンクはアメリカKOHLER社,クックトップはアメリカMagicChef社のものをビルトインしました。
この少しあと1975年頃から日本のシステムキッチンが黎明期を迎えたエポックデザインとなるアイランドキッチンです。


キッチンのワークトップ高さ85cmの延長で円形のダイニングテーブルを一体化してデザインしたのですが,最適な食卓テーブルの高さ75cmからは10cmも高く,このテーブルが使える最適な椅子はバーカウンター用の椅子しかなかったことが一番の気がかりでした。
アイランドキッチンのワークトップとテーブルカウンターとの、最適作業レベルの差と最適な椅子をどのように扱うかという課題は,現代でも未だに解決できていない大きな問題です。




◆1976年ドイツPoggenpohlのブレックファーストカウンターつきのアイランドキッチン。このカウンターはあくまでも朝食やスナック用のダイネットカウンターとして提案されました。


◆1978年アメリカのアイランドキッチン。非常に開放的なこのキッチンはアイランド部分にクッカーとダイネットカウンターを配置し、シンクは採光充分な窓側にレイアウト。銅板を叩き仕上げしたブーツ型のレンジフードが当時の人気で、アイランドキッチンのシンボルともなりました。
アメリカのワークトップの高さは92センチありますから,椅子も座面高さが60cm以上もあり、平均的な日本人の体型では足が床に届きません。


◆1978年ドイツAlmilmoのモーニングカウンターつきアイランドキッチン。この写真ではフードが見えません。 奥行きが40センチ前後しかないカウンターは,軽食用のダイネットカウンターで、この高さは73cmまで下げてあります。


◆ミニマルデザインが話題を集めた1982年、イングランドで発表されたシンプルキッチン。白いカウンターはタイル仕上げ。シンクとガスクッカーを向かい合わせに配置した例。ふたりで向かい合って使うのには適していますが,一人で作業するにはいちいちひと回りしないと連続作業ができません。


◆1991年イタリアBoffiのペニンシュラーキッチン。日本のキッチンデザインにも、大きな影響を与えたエポックデザインのひとつです。右手のトールユニットに冷凍冷蔵庫やウォールオーブンをビルトインし食品庫を確保。正面の作業台につながるペニンシュラー部分に、シンクとクッカーが並びます。
手前には木製の1/4円テーブルが取付けられていて,ワークトップ高さ(85~90cm)とテーブル高さ(65~75cm)との差を解決するひとつの方法です。こうすればようやく一般的なダイニングチェアが選択できるわけです。


◆1993年発行のTERENCE CONRANのKITCHEN BOOKが取り上げたアイランドキッチンは、薪を燃やす裸火のファイアプレースがレイアウトされています。このような裸火を楽しみながら加熱調理ができるようになるのは私の考える理想のキッチンのひとつですが、いろいろな法規制もあるため,今だに実現していません。


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