首都圏の戸建て価格は4期連続上昇
地価上昇ほか複数の要因が絡み合い、ここ1~2年の戸建て価格は上昇傾向に |
東日本で唯一、公的な不動産物件情報交換組織である(財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)。その東日本レインズが今年7月に発表した「首都圏不動産流通市場の動向」によると、首都圏における2007年4~6月の戸建て成約件数は2期連続で前年同期を下回っているものの、成約価格は平均3,577万円と、前年同期比1割近く(8.9%)も上昇。前期比では4期連続と1年間にわたり上昇しています。
首都圏の戸建て成約価格の推移。平成17年を底に2年間上昇し続けている(出典:東日本レインズ「首都圏戸建レポート」※拡大グラフはこちらで見られます) |
成約物件を価格帯別にみると、3,000万円超5,000万円以下の比較的若いファミリーが手を出しやすい価格帯での比率が縮小しており、逆に5,000万円超7,000万円以下の高額価格帯での比率が拡大。これが成約物件が減っているにもかかわらず、全体の物件価格を引き上げているものとみられます。
東日本レインズに新規に登録された戸建て価格も、新築・中古含めて4,316万円と前年同期比1割以上(10.7%)も上昇。前年同期比では9期連続、前期比では5期連続で上昇しています。新規に登録された物件価格が従来の物件価格を800万円も上回っていることからも、その価格上昇がみてとれます。
戸建て用土地価格は2割以上の上昇
ここ最近の地価上昇が戸建価格を押し上げる形に |
この価格上昇の主要因として考えられるのは、やはり最近の地価上昇。事実、同じ東日本レインズの調査によると、戸建て用の土地の首都圏における成約価格は、平均3,500万円と前年同期比8.3%上昇。新規登録の土地価格も4,436万円と11期連続で前期を上回り、前年同期比では何と23.7%と2割超の大きな上昇幅を示しています。新規登録の土地は1,000万円近く高いことが分かります。
工務店の建物工事費もやや上昇
一方、土地に建物を建てる注文住宅の世界でも、建物の平均工事費が上昇しているようです。全国建設労働組合総連合(全建総連)の工務店調査によると、工務店の2006年度の戸建て平均受注額は05年度からやや上昇し、1件あたりの平均受注額が2,000万円以上の割合がやや増加。特に2,000万~4,000万円の価格帯での伸びが大きく、それが全体的な受注額を底上げしているとしています。しかし、ここ1~2年続いている価格上昇は地価上昇の影響だけでなはいようです。次ページでは、それ以外の価格上昇の要因をいくつか挙げてみましょう。