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長く連れ添い、お互いに知り尽くしたオトナ夫婦だからこそ、心地よい距離感は大切 |
子供たちが巣立った後、家に残るのはお互いに知り尽くしたオトナ夫婦の2人。夫が定年退職を迎えて自宅で過ごす時間が長くなれば、より「快適な夫婦の距離感」も問われます。
子育て期は親子の時間を大切にした内向き志向だった家族関係も、子育てを終え、夫婦の心地よい距離感を大切にしながら、友人や趣味の仲間を呼び入れる外向き志向に移行していきます。そんな新しい住まい方と距離感を提案する最近の団塊世代向け「オトナ夫婦の家」を紹介します。
オトナ夫婦の心地よい距離は「1.5&3メートル」?
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子育てを終えたオトナ夫婦の距離感にも一定の法則があった!?(旭化成ホームズ「ルフト」) |
「つかず はなれず。大人のリビングのある住まい」というキャッチコピーで2007年1月に発売されたのは、
旭化成ホームズの「ヘーベルハウス・ルフト」(ルフトはドイツ語で空気の意味)。子育てを終えた夫婦2人の居心地のよい距離感を知るため、実際に子供が巣立っている50代以上の夫婦約271人にヒアリング。それによると、夫婦それぞれが個室も持っていてもリビングダイニング(LD)にいる時間のほうが長く、個室ではなくLDの中に自分の居場所を求めていることが分かりました。
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調査によると、オトナ夫婦が「一緒にくつろいだり仕事したりするベスト距離」は1.5メートル。「それぞれが離れて違うことをしているベスト距離」は3メートルという結果に |
同調査によると、LDという同じ空間内に夫婦がいても、現実には別々のことをしている夫婦が8割。夫はソファでTVを見ている間、妻はテーブルで書き物をしていたりなど、リビングとダイニングにそれぞれ分かれている場合は「外向きに3メートル以上」という距離感が多いことが分かりました。妻は家事動線が短くなるキッチンに近いダイニングエリア、夫は妻の動線にジャマされない落ち着けるリビングエリアにいることが多く、調査では「互いが気にならず自分がしていることに集中できる距離を自然と選んでいるのではないか」と推察しています。
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「妻の居場所」の典型例。キッチンにいることが多いからこその動線位置 |
一方、「同じソファに座って妻は雑誌、夫はTV」「ダイニングテーブルで夫はパソコン、妻は書き物」などと、同じ空間に一緒にいる場合には、適度な距離感は「やや内向き・対面向き1.5メートル」。くつろぐためのリビング空間、働き系の行為をするダイニング空間に2人が一緒にいれば、互いに同系統のことをしているためさほど存在が気にならず、いつでも会話を交わせる距離感となります。
「お互いが空気のよう」を実現する距離・動線計画
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「夫の居場所」の典型例。妻の動線の邪魔にならずくつろげる |
夫婦それぞれが個室を持っていてもLDで「互いにジャマにならない距離で同じ空間にいるのがいい」「時々一緒に行動するのが理想」「一人ぼっちはイヤだけど一人空間はほしい」という声が多く寄せられたことからも、別々のことをしていても一つの空間で存在を感じられるビミョーな距離感と空気感を求めていることが分かります。
こうした50~60代夫婦のリアルな声と調査結果に基づいて商品化されたのが、上記ルフトの「大人リビング」。夫婦それぞれの居場所をつくり、心地よい関係を維持できるような距離・動線計画を提案。夫は妻の家事動線から離れたところ、妻は家事動線の近くに居場所を設置しています。
リビングダイニングにそれぞれの居場所をつくった「大人リビング」。でもLDの自分の居場所にそれぞれが必要なモノを運んでくると、居心地のいいはずのLDがモノだらけに! こうした事態を解消する収納はどうすればいいのでしょうか?
次ページで紹介します。