長期優良住宅/長期優良住宅の基礎知識

女にとって「長期優良キッチン」とは?(下)(2ページ目)

長く住むにはメンテナンスや性能も大切だけど、女性にとっては動線やソフトも大切。なぜなら毎日の生活に関わるから。特にキッチンには多くのこだわりとポイントがある模様。「長期優良」座談会の最終回です。

河名 紀子

執筆者:河名 紀子

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ドイツのキッチンが広いのは理由がある

飯沼氏 ドイツ人ってあまりお料理しない割には、キッチンはすごく広いんですよね。なので、壁で囲んでクローズでも圧迫感がないんです。もしお友達が来ても、キッチンでおしゃべりに花が咲くことが出来るスペースになっている。

山根氏
キッチンコーディネーター山根ひとみ氏
山根氏 逆にクローズドして、キッチンを広めに取る家もあっていいですよね。私は昔から言ってるんですけど、男性建築家が往々にして書かれる図面のキッチンスペースは、シンクとコンロと冷蔵庫があればいいでしょ?って感じで狭くて、「これじゃ足りません!」て無理やり隣に収納をつけてもらったり。え? 盛り付けはどこでして、作ったものはどこに置くんですか?って、びっくりします。ゴミ置き場がなかったこともありました。

一同 笑

市川氏 でもコンパクトだから使いやすい面もありますよね。私はお料理教室を開くようになって、キッチン奥にあった和室を潰して、キッチンにつなげるリフォームをしました。確かに広くなって生徒さんに囲まれて料理実演もできるようになりましたが、動く距離も増えましたね。リフォーム前のキッチンは5帖足らずだったので、後ろを振り向けば何でも取り出せて、ほとんど動かなくてよかったなぁ、と今振り返っています。

市川氏
エレガントライフコーディネーター市川吉恵氏
以前、テレビ番組で料理実演をしたことがあるのですが、まだ狭いキッチンが主流だった頃で、撮影スタジオで50センチの正方形の板を書いて、「そこでやってみてください」って言われて、でも、ちゃんとできたんですよね。今考えるとすごいですけど。

飯沼氏 確かにキッチンには「ワーキングトライアングル」という言葉があって、シンク、ガス台、冷蔵庫を結ぶ線が、3.6~6メートルまでが理想的で、それを超えると使いにくい、とされています。ただ、マンションでは2.5~3帖くらいのキッチンもありますよね。そうすると、食品をしまっておくような食品庫が全くない……。これは使いにくいです。私などは週1回の生協に食材を頼っているので、食品をある程度ストックしておく場所が必要になります。それと生協が来るとキッチンまで何往復もしなくちゃいけないんですよね。だから、キッチンが玄関の近くにあったらいいのになって思います。

共働きまとめ買い家庭には食品庫は必須!

香取氏 働く奥さんと専業主婦の方とは違うのかもしれません。ある程度作っておいて、急に打合せが入ってもいいように揃えておく必要がある共働き家庭と、毎日スーパーに行ける人とは、またちょっと違いますよね。

岩尾氏
イメージコンサルタント岩尾加寿美氏
岩尾氏 私も生協なんですけど、スーパーに行かなくていいように週1回まとめてボックス3~4個届くとね、周りの主婦からは「なんだか食糧危機みたいね」っていわれますよ(笑)。亡命でもしようかとしているみたいな。

飯沼氏 だから食品庫が重要になってくる! 食品庫があれば、普段の家族4人の食器とお客様の食器は分けて、缶詰なども分けてあれば、コンパクトなキッチンが使いやすいかもしれませんね。キッチンってほとんど食器と食材の収納ですけれど、あまり使わないものを別に収納できるスペースさえあれば、コンパクトなキッチンでもいいと思います。

岩尾氏 実家の両親が重い買い物袋を持って廊下を運ぶ姿を見ていると、玄関からキッチンまで床下をずっとベルトコンベアのように運んでくれる機械があればいいなって、何度も思ったんですよ。おじいちゃん・おばあちゃんになったらきっと便利ですよ。レストランの上下リフトが横になった感じ。玄関に置けば自動で床下を通ってキッチンの床下収納まで運んでもらうの。

香取氏 すごい!業界の人間には発想できないわ(笑)。シニアのリフォームで提案できるかも。配管図の横にリフト図。だれか、開発して~(笑)

一同 笑。

さて、3回にわたる「女たちの長期優良座談会」で見えてきたこととは?
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