長期優良住宅/長期優良住宅の基礎知識

女にとって「長期優良キッチン」とは?(下)

長く住むにはメンテナンスや性能も大切だけど、女性にとっては動線やソフトも大切。なぜなら毎日の生活に関わるから。特にキッチンには多くのこだわりとポイントがある模様。「長期優良」座談会の最終回です。

河名 紀子

執筆者:河名 紀子

家づくりトレンド情報ガイド

キッチンイメージ
女性は機能だけでなくデザインもとことんこだわるキッチン(写真協力:株式会社Madre)
「長期優良住宅」座談会、驚いたことにその半分以上の時間を「キッチン談義」が占めました。やはり女性が毎日、一定時間過ごすところ。家族の「食」をプロデュースする舞台であり、「食育」の舞台でもあり、女性たちにとってこだわりの強いスペースという定説を裏付けることに。さぁ、どんなキッチン談義が繰り広げられたのでしょうか。

(前回の座談会からつづく)
飯沼氏 最近ドイツの住宅展示場を見学してきたんですが、実は、ドイツの戸建ては意外とコンパクトで、日本の平均的な戸建ての面積とあまり変わらないんです。

ガイド え? 136平方メートルですか? 日本と変わらないですね。

ドイツは「玄関入ったらすぐキッチン」。その理由?

飯沼氏
インテリアデザイナー飯沼朋子氏
飯沼氏 そう、廊下がないんです。日本の家は廊下などの面積が多くて、キッチンにいる時間がすごく長い割にはキッチンが狭いですよね。そのドイツの住宅展示場のパンフレットをコピーしてきたんですが、この間取りを見ても実にコンパクトですよね。

玄関を入ると、すぐキッチン。日本ではシューズクローゼットになりそうなところが、キッチンなのです。そのキッチンの奥にダイニングがありますが、それとは別に玄関からリビングに直接入る動線もあります。ご主人やお客様などは、キッチンやダイニングを見ることなく、リビングにすぐ通せるわけですね。すごく効率的だな、と。

私自身、自分の生活を振り返ってみても、帰ってすぐコートとバッグを置いてキッチンに直行するんですよね。日本はオープンキッチンとかも流行っていて、キッチンをいつもきれいにしておくのが理想だと思うのですが、私は仕事も子育てもあるので、時間がなければ、そのままにして出かける。

日本民家の土間キッチンはドイツに似ている?

池上氏
建築デザイナー池上裕子氏
むしろ、リビングや寝室は用がある時くらいしか行かないくらいなんですが(笑)、この動線パターンだったらいつでもキッチンを見られることなくお客様が呼べるし。すごく私的にはこのレイアウトは使いやすいのかなと思っています。でも案外、日本でも昔の民家などは玄関土間からキッチンがつながっていたので、実は日本でもオーソドックスな間取りだったのかなとも思います。

ガイド ドイツ人は家をとても愛していて、手入れするのも大好きだそうですね。ドイツ人主婦って朝から晩までキッチンを磨いてピカピカにしているという話を聞いたことがありますが、それでお客様に見せないのは何だかもったいない気もしますね。ドイツはお料理も違いますよね。スープ料理だったり、グリルだったり、あまりキッチンが汚れないメニューですが、日本は和・洋・中なんでも作らないといけませんからね。

香取氏
空間コンサルタント香取美智子氏
池上氏 若い頃は家に人を呼びたくて「オープン、オープン」って言っていたのに、50代になると急に人に見せたくなくなる同世代の女性多いですよ。だからキッチンも、年齢による変化に対応できるようにしておかないと長期優良住宅にならないのではないかと。

香取氏 キッチンに壁を作るとか?

山根氏 それこそ、近藤典子さんじゃないけど「動く収納」じゃなくて、「動くキッチン」も必要かもしれませんね(笑)。年齢で変わる価値観に対応しないと、30代とシニアとではキッチン志向も両極に変化しますから。

まだまだキッチン談義に花が咲きます!!
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