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フィンランド[1] ヘルシンキ建築案内

北欧の近代建築やデザインに触れたくて、フィンランド・ヘルシンキに行って来ました。私の好きな北欧デザインを、少しでも知っていただけたらと思っています。今回はまず建築案内から。

岩間 光佐子

執筆者:岩間 光佐子

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ヘルシンキ中央駅付近
北欧フィンランドといったら何を思い浮かべますか?サンタクロースの故郷?ムーミン?F1好きならミカ・ハッキネン?古くはオリンピック!正直言って、海外の都市の中でも、馴染みのない街のひとつかもしれません。でも、なかなか。建物やデザインが好きなら面白い街だと思います。さて、今回は街の建築案内です。

「バルト海の白い乙女」。ヘルシンキを形容するこの言葉は、ほとんどの観光パンフレットに書かれているほど有名です。なぜ白い乙女なのか、と言うと、バルト海に面したヘルシンキの街の中心部は、白く塗られた建物が多いから。もし、スウェーデンから船でヘルシンキに入ったとしたら、その美しさを充分堪能することができるはずです。

大聖堂
1809年、スウェーデンからロシアの支配下となったフィンランドは、アレクサンドル一世によって、1812年に首都をヘルシンキとします。寒村でしかなかったヘルシンキは、ドイツ人の建築家エンゲルによって都市として誕生したのです。グリット状の都市計画を立案したエンゲルは、迷路のような造りの他のヨーロッパの都市とヘ違った、美しく整備された街並を作り、また、30あまりの公共建築も生み出しました。(現在でも17が残っています。)ヘルシンキの中心とも言える白い大聖堂は、港を見下ろすことができる小高い丘の上に立ち、その前には40万個の御影石が敷き詰められた元老院広場があります。大聖堂の中に入ると、ネッフ作の「イエスの埋葬」が描かれている祭壇、そして向かい合うパイプオルガンがあり、装飾を排した白い空間が心地よい緊張感を生み出しています。

国立博物館
19世紀末になると、民族主義の動きが高まって、よりフィンランド的になろうとした時期に入ります。1917年のロシア革命後にフィンランドは独立し、翌年には建築家サーリネンによって、新しいヘルシンキのマスタープランが造られました。ヘルシンキのサーリネンの代表的な作品といえば、国立博物館、中央駅です。国立博物館は、花崗岩を用いた重厚な外壁、中世風の尖塔が印象的で、ナショナル・ロマンティシズムの代表例と言われています。荒削りの熊の彫刻が迎える階段を上り、建物内部に入ると吹き抜けのロビーがあります。その天井に描かれているのは、ガッレン・カッレラによる民族叙情詩カレワラのシーンを描いたフレスコ画。これは、一見の価値あり。

ヘルシンキ中央駅夜景
ヘルシンキ中央駅は、ロマン主義の風格にウィーンの分離主義をも感じられる建物。建築当時は駅舎のみでホームは露天だったそうですが、現在ではガラス張りの屋根がかけられ、モダンな雰囲気を持っています。駅の正面入口には、照明を兼ねた人物彫刻があり、高い天井の構内には、半円形の大きな窓、天井から吊るされた杵のようなデザインの照明と見どころいっぱいです。入口右側には、サーリネンの名前からとった「エリエル」というレストラン&カフェがあるので、ぜひ、立ち寄ってみて。高い天井と大きな窓から入り込む優しい光によって、ゆったりとした時間を過ごすことができますよ。

奥の建物がストックマン
ヘルシンキのデパートと言えば、ストックマン。建築家フロステルの設計によるこのデパートは、銅の屋根に垂直線を強調したデザインで、1910年代の典型的な建物と言えます。お土産も食品も充実しているので、旅行客には便利です。ストックマンの並びにあるのが、アカデミア書店。フィンランドの著名な建築家アルヴァ・アールトの作品。大きな吹き抜けのスペースが美しく、変形のトップライトから自然光が店内に入り、明るい店内は居心地も満点。2階の奥にアールトのデザインによる、「カフェ・アールト」があり、本選びに疲れたらゆったりとお茶を飲むことが出来ます。

【関連リンク】
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